異世界にタワマンを! 奴隷少年の下剋上な国づくり ~宇宙最強娘と純真少年の奇想天外な挑戦~

 神崎は言った。
「世界樹……?」
「あの煌めく玉、一つ一つが現実にある一つの星なのよ」
「えっ!? これが全部星!?」
 レオはただ美しいだけではない凄みの理由に気おされた。
「あなたの星は……、あそこね」
 神崎はそう言って指先を高く伸ばし、枝の先に着いた小さな光の球を指さした。その玉の光は他のにぎやかに光り輝く玉に比べて見劣り、貧弱さを漂わせている。
「あれ……、なんでこんな……」
 心配になるレオ。
「この光はその星に生きる人たちの喜怒哀楽の輝きなの。人の数が多ければ多いほど、活性が高ければ高いほど強く輝いて見えるわ」
「僕たちの星はその辺が貧弱なんだね……。シアンが……うちの星を消そうとしたのもそれが理由?」
 レオは泣きそうな声で聞いた。
「そうね。宇宙のリソースは有限なの。生きが良く元気な星をどんどん伸ばすためには、生きが悪い星は間引かないとならないの」
「間引くって……、みんな殺しちゃうって……こと?」
「殺しはしないわ、新しい星に転生するだけ。もちろん、なるべく避けるようにしてるわよ。あなたの星も消されなかったでしょ?」
 レオは目をつぶり、押し黙る。何が正しいのか、この壮大なスケールの宇宙の営みをどう考えたらいいのか分からなかったのだ。
「宇宙はこうやって五十六億七千万年かけて発達し、こうやって見事な花が咲き誇る世界に育ったのよ」
 レオは偉大な世界樹を見上げ、ふぅと大きく息をつく。そして、その壮麗な光のファンタジーに魅せられ……、また目をつぶった。

       ◇

「それで、シアンはどこにいるんですか?」
 レオは神崎を見て言った。
「この無数の輝きの中の一つが……あの子の物よ。あなたにそれが見つけられるかしら?」
 数千兆個にも及ぶ無数のきらめきの中から『シアンを探せ』と言う神崎。その目にはやや挑戦的な色があった。
「えっ!?」
 予想外の展開に言葉を失うレオ。
 どう考えても無理だ。そんなの砂浜の中から一つの砂粒を見つけ出すようなものだ。できる訳がない。
 しかし、諦めたらオディーヌもレヴィアも破滅だ。絶対シアンには会わねばならないのだ。
「シアーン! 僕だよ、レオだよ!」
 レオは必死に叫んた。
 しかし、世界樹には何の変化もない。