異世界にタワマンを! 奴隷少年の下剋上な国づくり ~宇宙最強娘と純真少年の奇想天外な挑戦~

 レオはヴィクトーに両手を広げ、受け入れる姿勢を見せた。
 ヴィクトーはうつむき、しばらく何かを考える……。
 そして意を決すると、レオをにらみ、叫んだ。
「お前は陛下じゃない! 偽物だ! 目標、陛下の偽物! 撃ち方よーい!」
 なんとヴィクトーはレオを拒絶し、攻撃にうつったのだ。
 しかし、レオは一歩も引かない。
 真一文字に口を結び、両手を広げたままだ。

 兵士たちはお互い顔を見合わせながら、本当に命令を聞いていいのかオロオロしてしている。
「腰抜けが! 貸せ!」
 ヴィクトーはグレネードランチャーを兵士から奪い取ると自分で構え、レオに照準を合わせた。
「ヴィクトー! 止めろ! なぜ分かってくれないんだよぉ!」
 レオは泣き叫ぶ。
「自由の国、アレグリス、バンザーイ!」
 ヴィクトーはそう叫びながら引き金を引いた……。














4-9. 暴走する殺意

 バシュン!

 爆発音がして弾頭は目にも止まらな速度でレオに襲いかかった。
 直後、ズズーン!という大爆発が起こり、レオは爆炎の中に消えた……。

「イヤ――――っ!」
 脇の方の空間のすき間から様子をうかがっていたオディーヌが、泣き叫ぶ。
 モウモウと上がる爆煙……。

「レオ――――っ!」
 静まり返った中門前の広場には、オディーヌの悲痛な叫び声がこだましていた。

 その直後、爆煙の中から何かが飛び出し、ヴィクトーたちを襲った。

 ビッシャァ!
「ぐわぁぁ!」「うひぃぃ!」
 盛大な水しぶきをあげながら兵士とヴィクターが吹き飛んだ。飛んできたのは巨大な水玉だったのだ。
 一体何があったのか分からない兵士たちに、次々と巨大水玉が襲いかかる。

 ビシャッ! ビシャッ! ビシャッ! ビシャッ! 

 高速に連射される水玉は次々と兵士たちを吹き飛ばし、大崩れとなった歩兵たちは次々と逃げだしていった。

 爆煙が晴れていくと、レオが手のひらを兵士たちに向けたまま立っていた。
 服はズタボロに焼け焦げ、髪の毛もチリチリだったが、身体は無事のようだった。

「ダメ! レオ! 逃げてー!!」
 その時、オディーヌが叫びながら駆けてくる。

「えっ!?」
 レオが振り返ると背後の弓兵が弓を引き絞り、矢を放った。

「ダメ――――っ!」