マーメイドハンター

 テレビから沖縄に本社を置く巨大製薬会社のニュースが流れていた。
「細胞分裂がテロメアの縮小によって制限されない、画期的なIPS細胞が発表されました。これは、人間の平均寿命を長く延ばす効果が期待されるもので、開発にあたった製薬会社のオーナーであり、開発責任者でもある秦千代博士は・・・」
 画面には若く、美しい女性研究者の映像が流れていた。
 秦千代は帰宅するなり、邸宅の地下に作った海と直接繋がっている巨大なプールのデッキチェアに寝そべった。気配を察したプールの中の影が近づいてくる。水面が盛り上がり、長い髪を宙に振って、上半身裸の女が浮かび上がった。腰から下のエメラルドグリーンに耀く尾鰭がしなやかに水中をかいている。
「千代、おかえり!」
「ただいま、ザン」
「私の細胞を利用して、人類に豊かな老後を与える技術を発表したのね」
 ザンの言葉に笑顔で千代姫は応えた。
「もう死ぬのは諦めた。そのかわりにみんな、私と同じにしてやるわ」