1話:
 アパートの管理人をやりつつも、仕事に情熱のない光司。
 今日も今日とて、水道管の修理を依頼されたが、蜘蛛が住み着いていたためビビッて仕事を放棄。
 近所のマダムに子供の面倒を見てくれと言われたのをこれ幸いとして、部屋に引き籠るとエロDVDをヘッドホン付きで見ていた。そこに、姪が世話を焼きに来て、オナ〇ーシーンをばっつり見られてしまう。
 いっそ、開き直る光司を全力で蹴り飛ばす姪。
 そこに異変が起こる。
 アパートが突如暗闇に追われ、外を見るとドーム状のもので都市と隔絶されていた。
 そして、空間が歪むといつの間にか少年が現れた。彼は神を名乗り、住民を異世界に送り込むと宣言。
 一方的に説明をすると、『能力』をアパートの住人に付与し、去って行こうとする。
 しかし、元の世界に戻せと憤る住民は少年を捕らえようとするも一瞬で惨殺される。
 その光景に驚愕する住民。だが、神は顧みることなくまた空間の歪みに消えていった。
 住民をドームの中に閉ざしたまま……。

※ ※

 ドームに閉ざされた住民。
 最初は皆助け合っていたが、遺体の腐敗臭が強まる頃。
 物資が欠乏し始めた。
 そうなると人間の本性が現れる。
 最初は強姦だった。若い女性が数名の男のグループに攫われ二度と帰ってこなかった。
 そして、皆が狂い始める。
 女性は部屋に閉じこもり、老人は物資を掠め取っていく。
 元気な男達は女性と食料を狙って住民同士で争う。そして光司は姪と近所の子を保護して管理人室に立てこもっていた。
 だが、ついに魔の手が迫る。
 姪を狙った男達が『能力』を悪用し始めたのだ。
 剣を生み出す能力や、魔法を使える能力。それらは犯罪をより凶悪にした。
 そして、管理人室が突破されそうなとき、重傷を負っていた住民の一人が自爆の能力を使ってドームを破ることに成功した。
 その隙に光司は姪たちを連れてドームから脱出するも、その目の前に広がっていた世界は日本のそれではなかった。



2話:
 目の間に広がる異世界の光景に慄いていると、ドームから次々に住民が脱出し始めた。
 その中には悪事に身を染める男達や理性を保った住民もいた。
 光司は姪と近所の子をつれ理性的住民達とともに逃げ出すが、やはり皆何処か狂っていたらしい。
 理性的と思われた住民も初めから狙いは姪であったらしく、隙をつかれて連れ去られてしまう。
 なんとか追撃するも異世界のこと、右も左もわからずついには遭難寸前に。
 幸いにも光司の能力は『男飯』。魔力で適当に作った料理を召喚できるもので飯には困っていなかった。
 だが、異世界はそう甘い所ではなく、当然──魔物がいた。
 幾つかの住民のグループは魔物に殺されるか、連れ去られて二度と帰ってこない。
 そして、初めて遭遇したゴブリンによって光司も危機に陥る。
 奴らは光司の連れていた近所の子に目を付け誘拐しようと執拗に光司たちを追跡し、ついには戦う羽目に。
 アパートから持ち出したいくつかの物資を駆使して善戦するも、数を増やしていく連中に徐々に追いつめられていく。

 それを遠目から確認している怪しい影が複数。
 光司たちとゴブリンの戦闘を傍観しているようだ。

 その目の前でついに光司がゴブリンにやられ、近所の子が誘拐されそうになる。
 そこに──。アパートから持ち出したソーラー充電付ポータブルDVDが不意に起動。
 第1話で姪っ子に蹴られて見ている途中で停止していたスッゴイ場面が再生され、エロDVDの大音声が異世界に響き渡る。

 驚いたゴブリン。
 そして遠くから見ていた怪しい人影。

 延々とエロDVDから流れる団地妻の嬌声。

 異世界がフリーズする中、DVDに興味もった怪しい人影が光司たちの戦闘に介入し、全く間にゴブリンを制圧してしまった。

 そして、ピンチを救われた光司はその人物を見上げると───長い耳……。美しいエルフが絶対零度の目で光司を見下ろしていた。
 その緊張間の中で流れるエロDVDの「あん♡ あん♡」の音声が深々と流れていく……。

※ ※

 ゴブリンに襲われた光司達。
 しかし、DVDに気を取られたゴブリンによって一瞬意識がそれる。
 その隙をついて、何者かがゴブリンを強襲。
 あっというまにゴブリンを制圧してしまった。

 おどろく光司達の前に武装した人影が。
 彼らの容姿に驚く光司。なぜなら、彼らはファンタジー世界でおなじみのエルフであった。
 そして、ここが本当に異世界だと否応なしに気づくことにもなる。

 ゴブリンからの拘束をとかれた光司達であったが安全ではなかった。
 今度はエルフたちに武器を向けられる。
 エルフは二人組で兄妹だといった。美しい容姿にふたりは光司達を信用していないのか、武器を向けたまま尋問を開始する。
 そのさなか、光司の持ち込んだ日本の品々に興味をもち、様々な質問をぶつけてきた。
 それに素直に答える光司であったが、そのころには体力気力も限界に達し、近所の子の声を聴きながら気絶してしまう。

 そして、気が付いたとき、光司は見知らぬ室内で目を覚ます。
 そこはエルフたちの集落だった。
 彼らは排他的ではあったが、非人道的な部類の人間ではなかったため、一時的な処置として光司を連れてきたという。
 しばらくは体調が戻るまでの滞在を許可され、集落を探索する光司であった。


3話:
 (姪のスキルは『俊足』:足技と速度などに特化)

 そのころ、連れ去られた姪ッ子は、理性的なグループ「自衛官」がリーダーを務める集団に拉致同然で連れ去られていた。
 ほかに数人の若い女の子とともに、拘束されどことも知れぬ密林を運ばれている。
 彼らの目的はもちろん女性の身体だ。
 目的もなくさまようグループであったが、拠点を見つけるため人の痕跡を探す。
 その日々の中で夜は代わる代わる男たちの相手をさせられる女性たち。
 姪は幼過ぎてしばらくはお目こぼしをされていたが、だんだん女性たちの元気がなくなるうちに男たちの態度が変わり始める。
 身の危険を感じた姪はある日隙をついて逃走するが、密林の中で迷子になってしまう。

 そして、ついに密林の中でゴブリンに遭遇し、あえなく誘拐されてしまった。

 ゴブリンの巣穴に連行された姪はそこで苗床扱いされているアパートの住民を数名と再会するが、すぐに自分もその運命をたどることに気づき精神が不安定になる。
 そこにやってきた巨大なゴブリン。
 子の巣穴のボスクラスは姪を気に入り自分専用にしようと奥に連れ去る。
 そして、いよいよ犯されるという段階で、自衛官のグループがゴブリンの巣穴を強襲。
 獲得したスキルで次々にゴブリンを屠っていくも多勢に無勢苦戦を強いられる。

 そのうちに隙を見つけた姪は自らもスキルを発動し、ゴブリンを倒し脱出を果たす。
 そこで、一人の日本人をみつける。
 彼は自分を誘拐した一人で「自衛官」の男であった。もっとも、強いスキルを持っていたがゴブリンの戦いで不覚を取ったらしい。
 彼を見捨てることもできたが、姪はやむを得ず助けて逃亡することに。

 スキルを使い、一気に距離を稼いだ姪はあてどなく、そして、光司と再会すべく密林をさまよい続けることに──。

※ ※

 体調の回復した光司はすっかりエルフの集落になじんでいた。
 アパートの管理人をしていた経験を活かして周辺環境を整える術を持っていたため、意外にもエルフたちの受けはよかった。
 なによりも光司のスキル「男飯」はエルフの下にもあったのか、非常に重宝されていた。
 おそらく、エルフの集落に滅多に入ってこない『塩味』を多分に含んだ料理を提供できたからであろう。
 そのきになれば塩そのものも出せる。
 そうして、基盤を着々と気づいていた光司であったが、気がかりも多かった。
 近所の子に姪のことだ。
 光司自身、日本に帰りたい思いが強いのだ。まだ子供である二人ならいわんや。
 しかも、姪に至ってはいまだに行方不明。
 近所の子は大人しいし、素直であったが、それでもめいかくにホームシックにかかっていることは目に取れた。
 そのため、光司はエルフの集落の長老などに事情を話し手掛かりの捜索に協力してくれないか懇願することに。

 すると、意外にも答えはすぐに出てきた。

 この世界に成り立ちと、神の存在について言及するものがあったのだ。
 神はこの世界を作るときにいくつかの仕掛けを施した。それが光司らのような異邦人の流入と、彼らの持つスキルの統合であった。
 ある一定のレベルに達したスキルを所持しているものが一堂に会した場合、高次元への進化のため神々が姿をあらわすのだという。さらに詳細な話は人間の国の深部に保管されている文献を調べるしかないが、エルフの記憶している口伝でもここまでのことが伝わっていた。

 つまり、アパートの住民が協力してスキルを上げていけばいずれ、またあの神が現れる可能性があるということ。
 現れたとして素直に言うことを聞いてくれる保障はないが、元の世界に変えることができるのはあの神に力を借りるしか方法はない。
 そのため、光司は姪を探しつつ、スキルを挙げる決意をする。
 エルフの集落を拠点に探索し、冒険の旅に出ようと近所の子をいざなう光司。
 ふさぎこんでいた近所の子であるが、光司の語る話に希望を見出し、彼と冒険に出る決意をした。
 そうして二人は新たな旅立ちにでる。



※ダイジェスト※

 姪っ子は自分を襲おうとした人間を助け、そのさなかで絆をはぐくみつつ、光司と再会すべく行動する。
 常に向上し、強く美しく──。
 一方で光司は泥臭くも、様々な人と交流し、可愛い近所の子とドタバタしながらいろんな事件を解決しながらスキルを成長させていく。
 盗賊や魔物、悪に染まったアパートの住民らと交戦し、時に倒し、時に和解し、時に殺し殺される日々。
 徐々にスキルは成長していくが、アパートの住民はそれぞれの思惑をもっているため一堂に会することは不可能に見えた。
 それを回避する手段が、相手も倒してスキルを奪い取ること。
 一度奪ったスキルは大幅にレベルをダウンさせるが、それでも最悪一人に集約して、たった一人で神に再開し進化することもできる。それを知った幾人かのアパートに住民は邪悪な心を抱えたまま、元の世界の仲間であるアパートの住民をつけ狙うこともある。

 そうして、姪ッ子、光司は別々の道を進みつつもいつか再開することを夢見て異世界を冒険していく。