翌朝、喧しく鳴り響くスマホのアラームで目を覚ました。スマホを見るとチェックアウトの二十分前だった。
「起きろ!寝坊だ!」
眠っている美咲にそう言って、スマホの時間を見せると彼女は悲鳴を上げて飛び起きた。俺たちは急いで身支度を整え、荷物を整理した。
本来起床する時間から保険のために十分おきにアラームをかけていたけれども、最後のアラームまで起きないでいるとは思わなかった。どんだけ俺たち熟睡していたんだよ。
「そろそろ出れるか?」
歯を磨き、荷物を背負った俺は美咲にそう尋ねた。
「髪のセットがまだだよー!」
と、洗面台で必死の形相で髪を櫛で整えている美咲が喚いていた。
「歯磨き終わってるならもう大丈夫だろ!」
「飛鳥くんは女心がわかってない!最低!」
もはや様式美のような慌ただしさで部屋を出たときは俺も美咲もひどい寝ぐせだった。フロントの人に明らかに「こいつら寝坊したな」といったような目で見られたのが恥ずかしかった。
「それじゃあ、帰りの新幹線の時間まで目一杯楽しもうね!」
「ああ!」
そう話して俺たちはロビーを出た。外は雲一つない快晴。絶好の旅行日和。最後の日は天が味方してくれた。だから、楽しもうと思った。仮に雨だろうときっと一緒なら楽しめるに違いないだろうけれども。
海に浮かぶ巨大な鳥居。そんな海を一望する廻廊の神社のある島。たくさんのお土産屋。食事処で名物と言われている穴子丼は高かったけど美味しかった。そして、この国で一番有名な戦艦の博物館のある街にも行った。暗く冷たい海底から引き揚げられたその戦艦の部品。実物大の艦上戦闘機の模型。特攻作戦に赴く人間の遺書。博物館での名物のカレーは甘いようで辛い不思議な美味しさだった。
帰りの新幹線は俺たちはぐっすりと眠っていた。寝不足なまま全力で突っ切って、くたくただったから席に座ると糸が切れたように寝てしまった。
俺たちはこの二日間を目一杯楽しんだ。きっと地球上で人類史上一番楽しい思いをしたに違いない。だって、自分がそうはっきりと思えるんだからそうなんだ。
「起きろ!寝坊だ!」
眠っている美咲にそう言って、スマホの時間を見せると彼女は悲鳴を上げて飛び起きた。俺たちは急いで身支度を整え、荷物を整理した。
本来起床する時間から保険のために十分おきにアラームをかけていたけれども、最後のアラームまで起きないでいるとは思わなかった。どんだけ俺たち熟睡していたんだよ。
「そろそろ出れるか?」
歯を磨き、荷物を背負った俺は美咲にそう尋ねた。
「髪のセットがまだだよー!」
と、洗面台で必死の形相で髪を櫛で整えている美咲が喚いていた。
「歯磨き終わってるならもう大丈夫だろ!」
「飛鳥くんは女心がわかってない!最低!」
もはや様式美のような慌ただしさで部屋を出たときは俺も美咲もひどい寝ぐせだった。フロントの人に明らかに「こいつら寝坊したな」といったような目で見られたのが恥ずかしかった。
「それじゃあ、帰りの新幹線の時間まで目一杯楽しもうね!」
「ああ!」
そう話して俺たちはロビーを出た。外は雲一つない快晴。絶好の旅行日和。最後の日は天が味方してくれた。だから、楽しもうと思った。仮に雨だろうときっと一緒なら楽しめるに違いないだろうけれども。
海に浮かぶ巨大な鳥居。そんな海を一望する廻廊の神社のある島。たくさんのお土産屋。食事処で名物と言われている穴子丼は高かったけど美味しかった。そして、この国で一番有名な戦艦の博物館のある街にも行った。暗く冷たい海底から引き揚げられたその戦艦の部品。実物大の艦上戦闘機の模型。特攻作戦に赴く人間の遺書。博物館での名物のカレーは甘いようで辛い不思議な美味しさだった。
帰りの新幹線は俺たちはぐっすりと眠っていた。寝不足なまま全力で突っ切って、くたくただったから席に座ると糸が切れたように寝てしまった。
俺たちはこの二日間を目一杯楽しんだ。きっと地球上で人類史上一番楽しい思いをしたに違いない。だって、自分がそうはっきりと思えるんだからそうなんだ。