あなたの死に花束を。

 影がゆっくりと立ち上がる。
「――でもまあ、なんだかんだ救えて良かったよねえ、菜恵姉」
 次の枯れかけの花は、どこにいるかな。
 そんな言葉と共に、再びシン、と静まり返ったその店は、再び闇へと溶け込んだ。はてさて、次に風が運び入れる種は、一体どんな大輪を咲かせてくれるだろうか。

(完)