自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 ただ、俺はその舞を見ながら気分は暗く沈んだ。このスポットは前世で俺が遊泳していてたまたま見つけたマンタ・スポットなのだ。広大な海の中でマンタに会うのはとても難しい。でも、なぜか、このスポットにはマンタが立ち寄るのだ。そして、地球で見つけたこのスポットがこの世界でも存在しているということは、この世界が単なる地球のコピーではないということも意味していた。地形をコピーし、サンゴ礁をコピーすることはできても、マンタの詳細な生態まで調べてコピーするようなことは現実的ではない。
 俺はこの世界は地球をコピーして作ったのかと思っていたのだが、ここまで同一であるならば、同時期に全く同じように作られたと考えた方が自然だ。であるならば、地球も仮想現実空間であり、リアルな世界ではなかったということになる。そして、この世界で魔法が使えるということは地球でも使えるということかもしれない。俺の知らない所で日本でも魔法使いが暗躍していたのかも……。
 しかし……。こんな精緻な仮想現実空間を作れるコンピューターシステムなど理論的には作れない。一体どうなっているのか……。

 もう一頭マンタが現れて、二頭は仲睦まじくお互いを回り合い、そして一緒に沖へと消えていった。
 俺は消えていったマンタの方をいつまでも眺め、不可解なこの世界の在り方に頭を悩ませていた。






3-7. 吸いつくようなデータの手触り

「そろそろランチにしよう」
 俺はそう言って、ドロシーの手を取って陸へと戻る。
 海から上がると、真っ白な砂浜に空に太陽が照りつけ、潮風が気持ち良く吹いてくる。

「海はどうだった?」
 俺はカヌーへと歩きながら聞く。
「まるで別世界ね! こんな所があるなんて知らなかったわ!」
 にこやかに笑うドロシー。
 俺は木陰に小さな折りたたみ椅子を二つ並べ、湯を沸かしてコーヒーを入れ、サンドイッチを分け合った。
 ザザーンという静かな波の音、ピュゥと吹く潮風……。ドロシーはサンドイッチを頬張(ほおば)りながら幸せそうに海を眺める。
 俺はコーヒーを飲みながら、いったいこの世界はどうなっているのか一生懸命考えていた。