自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 ドロシーがバタつく銀色の髪を押さえながら、不安そうに聞いてくる。
「音が伝わる速さを超えるってことだよ、とんでもない速度で飛ぶってこと」
「もっと速くなるの!? 音より速い!? なんなのそれ!?」
 ドロシーがまん丸い目をして俺を見る。
「しっかりつかまっててよ!」
 俺はそう言うと注入魔力をグンと増やした。
 カヌーはビリビリと震えながら速度を上げていく。表示速度もガンガン上がっていく。

対地速度 500km/h
  :
対地速度 600km/h
  :
対地速度 700km/h

 どんどんと上がっていく速度。さらに高度を上げていく。
 雲のすき間をぬって飛んでいくが、大きな雲が立ちふさがった。

「雲を抜けるよ、気を付けて!」
「く、雲!?」

 ボシュ!
 いきなり視界がグレー一色になる。

「きゃぁ!」
 俺にしがみつくドロシー。
 雲の中に突っ込んだのだ。
 俺は構わずさらに速度と高度を上げていく。

対地速度 800km/h
  :
対地速度 900km/h

 ジェット旅客機の速度に達し、船体がグォングォンとこもった音を響かせ始める。
 すると急に視界が開けた。
 真っ青な青空に燦燦(さんさん)と照り付ける太陽、雲の上に出たのだ。
「ヒャッハー!」
 俺は思わず叫んだ。
「すごーい……」
 ドロシーは初めて見る雲の上の景色に圧倒される。
「ここが雲の上だよ」
「なんて神秘的なのかしら……」
 ドロシーは雲と空しかない風景にしばし絶句していた。

 その間にも速度はぐんぐんと上がる。

対地速度 1000km/h
  :
対地速度 1100km/h
  :
対地速度 1200km/h
  :

 カヌーの周りにドーナツ状の霧がまとわりつく。亜音速に達したのだ、いよいよ来るぞ……。

 ドゥン!

 激しい衝撃音が響き、カヌーが大きく揺れる。ついに音速を超えたのだ。
「キャ――――!!」
 ドロシーが叫ぶ。

 俺は
「Yeah――――!!」
 と、叫び、さらに魔力を上げた。

対地速度 M1.1
  :
対地速度 M1.2
  :
対地速度 M1.3
  :

 速度表示がマッハ(M)に変わり、どんどん増えていく。