自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 俺は何だか良く分からないまま平謝りに謝った。
 どこまでも続く水平線を見ながら、
『帰ったら誰かに教えてもらおう。こんな時スマホがあればなぁ……』
 と、情けないことを考えた。

        ◇

 さらにしばらく海面をすべるように行くと、断崖絶壁の上に立つ灯台が見えてきた。本州最南端、潮岬だ。灯台は石造りの立派な建築で、吹き付ける潮風の中、威風堂々と海の安全を守っている。
 潮岬を超えたら少し右に進路を変え、四国の南をかすめながら宮崎を目指そう。

「うわー! あれ、灯台よね?」
 ドロシーは初めて見る灯台に興奮気味だ。機嫌が直ってきたようでホッとする。
「よし、灯台見物だ!」
 俺は灯台の方向にかじを切る。徐々に近づいてくる灯台……。
「しっかりつかまっててよ!」
「えっ!? ちょっと待って!」
 ギリギリまで近づくと俺は高度を一気に上げ、断崖絶壁をスレスレにかすめる。生えていた草がパシパシっとシールドを叩く。
 そして、ぐっと大きく迫ってくる灯台のすぐ横を飛んだ。
 視野を大きく灯台の石壁が横切る。
「きゃぁ!」
 俺にしがみつくドロシー。

 ドン!

 カヌーが引き起こす後方乱気流が灯台にぶつかって鈍い音を放つ。

「ははは、大丈夫だよ」
「もぉ……」
 ドロシーは俺の背中をパンと叩き、振りむいて、ぐんぐんと小さくなっていく灯台を眺めた。
「なんだかすごいわ……。ユータは大魔導士なの?」
「大魔導士であり、剣聖であり、格闘家……かな?」
 俺はニヤッと笑う。
「何よそれ、全部じゃない……」
「すごいだろ?」
 俺がドヤ顔でそう言うと……
「すごすぎるのも……何だか怖いわ……」
 そう言って、俺の背中に顔をうずめた。
 確かに『大いなる力は大いなる責任を伴う』という言葉もある。武闘会で勇者叩きのめしちゃったらもう街には居られないだろう。
 リリアンの騎士にでもなれば居場所はできるだろうけど、そんな生き方も嫌だしなぁ……。
 俺はぽっかりと浮かんだ雲たちをスレスレでよけながら高度を上げ、遠くに見えてきた四国を見つめた。









3-5. マッハを超えるカヌー

 俺はグングンと速度を上げ、さらに高い空を目指す。
「これより、当カヌーは超音速飛行に入りま~す。ご注意くださ~い!」
「え? 超音速って……何?」