「あ、いや、孤児院に圧力かけようって訳じゃなくって……そ、そう、もっと助成増やせるかも知れないわねって話よ?」
リリアンは気おされ、あわてて言う。
「増やしてくれるのは歓迎です。孤児院はいつも苦しいので。ただ、騎士の件はお断りします。そういうの性に合わないので」
この世界で貴族は特権階級。確かに魅力的ではあるが、それは同時に貴族間の権力争いの波に揉まれることでもある。そんなのはちょっと勘弁して欲しい。
「うーん……」
リリアンは腕を組んでしばらく考え込む。
「分かったわ、こうしましょう。あなた勇者ぶっ飛ばしたいでしょ? 私もそうなの。舞台を整えるから、ぶっ飛ばしてくれないかしら?」
どうやら俺が勇者と揉めていることはすでに調査済みのようだ。
「なぜ……、王女様が勇者をぶっ飛ばしたいのですか?」
「あいつキモいくせに結婚迫ってくるのよ。パパも勇者と血縁関係持ちたくて結婚させようとしてくるの。もう本当に最悪。もし、あなたが勇者ぶっ飛ばしてくれたら結婚話は流れると思うのよね。『弱い人と結婚なんてできません!』って言えるから」
なるほど、政略結婚をぶち壊したいということらしい。
「そう言うのであればご協力できるかと。もちろん、孤児院の助成強化はお願いしますよ」
俺はニコッと笑って言った。行方も知れない勇者と対決できる機会を用意してくれて、孤児院の支援もできるなら断る理由はない。
「うふふ、ありがと! 来月にね、武闘会があるの。私、そこでの優勝者と結婚するように仕組まれてるんだけど、決勝で勇者ぶちのめしてくれる? もちろんシード権も設定させるわ」
リリアンは嬉しそうにキラキラとした目で俺を見る。長いまつげにクリッとしたアンバー色の瞳。さすが王女様、美しい。
「分かりました。孤児院の助成倍増、建物のリフォームをお約束していただけるなら参加しましょう」
「やったぁ!」
リリアンは両手でこぶしを握り、可愛いガッツポーズをする。
「でも、手加減できないので勇者を殺しちゃうかもしれませんよ?」
「武闘会なのだから偶発的に死んじゃうのは……仕方ないわ。ただ、とどめを刺すようなことは止めてね」
「心がけます」
俺はニヤッと笑った。
「良かった! これであんな奴と結婚しなくてよくなるわ! ありがとう!」
リリアンは気おされ、あわてて言う。
「増やしてくれるのは歓迎です。孤児院はいつも苦しいので。ただ、騎士の件はお断りします。そういうの性に合わないので」
この世界で貴族は特権階級。確かに魅力的ではあるが、それは同時に貴族間の権力争いの波に揉まれることでもある。そんなのはちょっと勘弁して欲しい。
「うーん……」
リリアンは腕を組んでしばらく考え込む。
「分かったわ、こうしましょう。あなた勇者ぶっ飛ばしたいでしょ? 私もそうなの。舞台を整えるから、ぶっ飛ばしてくれないかしら?」
どうやら俺が勇者と揉めていることはすでに調査済みのようだ。
「なぜ……、王女様が勇者をぶっ飛ばしたいのですか?」
「あいつキモいくせに結婚迫ってくるのよ。パパも勇者と血縁関係持ちたくて結婚させようとしてくるの。もう本当に最悪。もし、あなたが勇者ぶっ飛ばしてくれたら結婚話は流れると思うのよね。『弱い人と結婚なんてできません!』って言えるから」
なるほど、政略結婚をぶち壊したいということらしい。
「そう言うのであればご協力できるかと。もちろん、孤児院の助成強化はお願いしますよ」
俺はニコッと笑って言った。行方も知れない勇者と対決できる機会を用意してくれて、孤児院の支援もできるなら断る理由はない。
「うふふ、ありがと! 来月にね、武闘会があるの。私、そこでの優勝者と結婚するように仕組まれてるんだけど、決勝で勇者ぶちのめしてくれる? もちろんシード権も設定させるわ」
リリアンは嬉しそうにキラキラとした目で俺を見る。長いまつげにクリッとしたアンバー色の瞳。さすが王女様、美しい。
「分かりました。孤児院の助成倍増、建物のリフォームをお約束していただけるなら参加しましょう」
「やったぁ!」
リリアンは両手でこぶしを握り、可愛いガッツポーズをする。
「でも、手加減できないので勇者を殺しちゃうかもしれませんよ?」
「武闘会なのだから偶発的に死んじゃうのは……仕方ないわ。ただ、とどめを刺すようなことは止めてね」
「心がけます」
俺はニヤッと笑った。
「良かった! これであんな奴と結婚しなくてよくなるわ! ありがとう!」



