この世界は仮想現実空間ということはほぼ堅そうだ。ヌチ・ギが女の子を食い物にするために作った仮想現実空間……。いや、この世界を作るコストはそれこそ天文学的で莫大だ。女の子を手にするためにできるような話じゃない。と、なると、ヌチ・ギは単に管理を任されていて、役得として女の子を食っているという話かもしれない。
とは言え、この辺は全く想像の域を出ない。何しろ情報が少なすぎる。
「ありがとう、とても参考になったよ。王都に行くのはやめておこう」
「正解だと思います。特に、ドロシーの姐さんがヌチ・ギさんの目に触れることが無いようにしてくださいね。奪われたら最悪です」
「うーん、それは怖いな……。気を付けよう」
俺はふぅぅ、と大きく息を吐きながら、この世界の理不尽さを憂えた。
うちの街では勇者が特権をかざして好き放題やってるし、王都では怪しい男が国を裏で操りながら女の子を弄んでいる。そして、それらは簡単には改善できそうにない。
この世界ではヌチ・ギがキーになっているということはわかった。なぜここが日本列島なのかも聞けば教えてくれるだろう。しかし、俺はチートで力をつけてきた存在だ。下手に近づけばチートがばれてペナルティを食らってしまう。下手したらアカウント抹消……、殺されてしまうかもしれない。とても話を聞きになんて行けない。アバドンに聞きにいかせたりしてもアウトだろう。ヌチ・ギは万能な存在だ。アバドンの記憶を調べられたりしたら最悪だ。
結局は自分で調べていくしかないようだ。
逆にこの世界の秘密が分かったら、ヌチ・ギにも対抗できるかもしれない。ヌチ・ギもバカじゃない、いつか俺の存在にも気づくだろう。その時に対抗できる手段はどうしても必要だ。
女神様に連絡がつけば解決できるのにな、と思ったが、どうやったらいいかわからない。死んだらもう一度あの先輩に似た美人さんに会えるのかもしれないが……、死ぬわけにもいかないしなぁ……。
俺はコーヒーをすすりながら、テーブルに可愛く活けられたマーガレットの花を眺めた。ドロシーが飾ったのだろう。黄色の中心部から大きく開いた真っ白な花びらは、元気で快活……まるでドロシーのようだった。
俺はドロシーのまぶしい笑顔を思い出し、目をつぶった。
2-12. 王女からの依頼
とは言え、この辺は全く想像の域を出ない。何しろ情報が少なすぎる。
「ありがとう、とても参考になったよ。王都に行くのはやめておこう」
「正解だと思います。特に、ドロシーの姐さんがヌチ・ギさんの目に触れることが無いようにしてくださいね。奪われたら最悪です」
「うーん、それは怖いな……。気を付けよう」
俺はふぅぅ、と大きく息を吐きながら、この世界の理不尽さを憂えた。
うちの街では勇者が特権をかざして好き放題やってるし、王都では怪しい男が国を裏で操りながら女の子を弄んでいる。そして、それらは簡単には改善できそうにない。
この世界ではヌチ・ギがキーになっているということはわかった。なぜここが日本列島なのかも聞けば教えてくれるだろう。しかし、俺はチートで力をつけてきた存在だ。下手に近づけばチートがばれてペナルティを食らってしまう。下手したらアカウント抹消……、殺されてしまうかもしれない。とても話を聞きになんて行けない。アバドンに聞きにいかせたりしてもアウトだろう。ヌチ・ギは万能な存在だ。アバドンの記憶を調べられたりしたら最悪だ。
結局は自分で調べていくしかないようだ。
逆にこの世界の秘密が分かったら、ヌチ・ギにも対抗できるかもしれない。ヌチ・ギもバカじゃない、いつか俺の存在にも気づくだろう。その時に対抗できる手段はどうしても必要だ。
女神様に連絡がつけば解決できるのにな、と思ったが、どうやったらいいかわからない。死んだらもう一度あの先輩に似た美人さんに会えるのかもしれないが……、死ぬわけにもいかないしなぁ……。
俺はコーヒーをすすりながら、テーブルに可愛く活けられたマーガレットの花を眺めた。ドロシーが飾ったのだろう。黄色の中心部から大きく開いた真っ白な花びらは、元気で快活……まるでドロシーのようだった。
俺はドロシーのまぶしい笑顔を思い出し、目をつぶった。
2-12. 王女からの依頼



