それから、水の中に潜れる魔道具の指輪を買ってきたので、これで酸欠にもならずに済みそうだ。指輪を着けておくと血中酸素濃度が落ちないらしい。こういうチートアイテムの存在自体が、この世界は仮想現実空間である一つの証拠とも言える気がする。しかし、どうやって実現しているかが全く分からないので気持ち悪いのだが……。
俺は鐘を横倒しにし、中に断熱材代わりのふとんを敷き詰めると乗り込み、鉄板で蓋をしてもらった。
「じゃぁボルトで締めてくれ」
「わかりやした!」
アバドンは丁寧に50か所ほどをボルトで締めていく。
締めてもらいながら、俺は宇宙に思いをはせる――――
生まれて初めての宇宙旅行、いったい何があるのだろうか? この星は地球に似ているが、実は星じゃないかもしれない。何しろ仮想現実空間らしいので地上はただの円盤で、世界の果ては滝になっているのかもしれない……。
それとも……、女神様が出てきて『ダメよ! 帰りなさい!』とか、怒られちゃったりして。あ、そう言えばあの先輩に似た女神様、結局何なんだろう? 彼女がこの世界を作ったのかなぁ……。
俺が悩んでいると、カンカンと鐘が叩かれた。
「旦那様、OKです!」
締め終わったようだ。出発準備完了である。
「ありがとう! それでは宇宙観光へ出発いたしまーす!」
俺は鐘全体に隠ぺい魔法をかけた後、自分のステータス画面を出して指さし確認する。
「MPヨシッ! HPヨシッ! エンジン、パイロット、オール・グリーン! 飛行魔法発動!」
鐘は全体がボウっと光に包まれた。
俺はまっすぐ上に飛び立つよう徐々に魔力を注入していく。
「お気をつけて~!」
アバドンが、鐘の横に付けた小さなガラス窓の向こうで大きく手を振っている。
1トンの重さを超える大きな鐘はゆるゆると浮き上がり、徐々に速度を上げながら上昇していく。きっと外から見たらシュールな現代アートのように違いない。録画してYoutubeに上げたらきっと人気出るだろうな……、と馬鹿なことを考える。
のぞき窓の向こうの風景がゆっくりと流れていく。俺は徐々に魔力を上げていった……。
石造りの建物の屋根がどんどん遠ざかり、街全体の風景となり、それもどんどん遠ざかり、やがて一面の麦畑の風景となっていく。俺があくせく暮らしていた世界がまるで箱庭のように小さくなっていった。
俺は鐘を横倒しにし、中に断熱材代わりのふとんを敷き詰めると乗り込み、鉄板で蓋をしてもらった。
「じゃぁボルトで締めてくれ」
「わかりやした!」
アバドンは丁寧に50か所ほどをボルトで締めていく。
締めてもらいながら、俺は宇宙に思いをはせる――――
生まれて初めての宇宙旅行、いったい何があるのだろうか? この星は地球に似ているが、実は星じゃないかもしれない。何しろ仮想現実空間らしいので地上はただの円盤で、世界の果ては滝になっているのかもしれない……。
それとも……、女神様が出てきて『ダメよ! 帰りなさい!』とか、怒られちゃったりして。あ、そう言えばあの先輩に似た女神様、結局何なんだろう? 彼女がこの世界を作ったのかなぁ……。
俺が悩んでいると、カンカンと鐘が叩かれた。
「旦那様、OKです!」
締め終わったようだ。出発準備完了である。
「ありがとう! それでは宇宙観光へ出発いたしまーす!」
俺は鐘全体に隠ぺい魔法をかけた後、自分のステータス画面を出して指さし確認する。
「MPヨシッ! HPヨシッ! エンジン、パイロット、オール・グリーン! 飛行魔法発動!」
鐘は全体がボウっと光に包まれた。
俺はまっすぐ上に飛び立つよう徐々に魔力を注入していく。
「お気をつけて~!」
アバドンが、鐘の横に付けた小さなガラス窓の向こうで大きく手を振っている。
1トンの重さを超える大きな鐘はゆるゆると浮き上がり、徐々に速度を上げながら上昇していく。きっと外から見たらシュールな現代アートのように違いない。録画してYoutubeに上げたらきっと人気出るだろうな……、と馬鹿なことを考える。
のぞき窓の向こうの風景がゆっくりと流れていく。俺は徐々に魔力を上げていった……。
石造りの建物の屋根がどんどん遠ざかり、街全体の風景となり、それもどんどん遠ざかり、やがて一面の麦畑の風景となっていく。俺があくせく暮らしていた世界がまるで箱庭のように小さくなっていった。



