自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

「大丈夫です! 僕は武器屋をやってまして、刃物の()げ具合を観察するのに使いたいのです。だから倍率はできるだけ高い方が……」
 適当に嘘をつく。
 彼女は俺の目をジッと見た。
 その鋭い視線に俺はたじろいだ……。
「嘘ね……」
 彼女はメガネをクイッと上げると、
「私、嘘を見破れるの……。お姉さんに正直に言いなさい」
 彼女は少し怒った表情を見せる。
 スキルか何かだろうか……面倒なことになった。
 とは言え、この世界がゲームの世界かどうか調べたいなどという荒唐無稽(こうとうむけい)なこと、とても言えない。何とかボカして説明するしかない……。
 俺は大きく深呼吸をし、言った。
「……。参りました。本当のことを言うと、この世界のことを調べたいのです。この世界の仕組みとか……」
 彼女は、首を左右に動かし、俺のことをいろいろな角度から観察した。
「ふぅん……嘘は言ってないみたいね……」
 そう言いながら腕を組み、うんうんと、軽くうなずいた。
「私ね、こう見えても王立アカデミー出身なのよ。この世界のこと、教えられるかもしれないわ。何が知りたいの?」
 彼女はニコッと笑って言った。
「ありがとうございます。この世界が何でできているかとか、細かい物を見ていくと何が見えるかとか……」
「この世界の物はね、火、水、土、風、雷の元素からできてるのよ」
 中世っぽい理論だ。
「それは拡大していくと見たりできるんですか?」
「うーん、アカデミーにはね、倍率千倍のすごい顕微鏡があるんだけど、それでも見ることは出来ないわね……。その代わり、微生物は見えるわよ」
「え!? 微生物?」
 俺は予想外の回答に驚かされた。
「ヨーグルトってなぜできるか知ってる?」
「牛乳に種のヨーグルトを入れて温めるんですよね?」
「そう、その種のヨーグルトには微生物が入っていて、牛乳を食べてヨーグルトにしていくのよ」
「その微生物が……、見えるんですか?」
「顕微鏡を使うといっぱいウヨウヨ見えるわよ!」
 俺はヨーグルトのCMで見た、乳酸菌の写真を思い出す。
「もしかして……、それってソーセージみたいな形……してませんか?」
「えっ!? なんで知ってるの!?」
 彼女は目を丸くして驚いた。
「いや、なんとなく……」