そもそも、この世界はおかしい。ドロシーは死んで潰されて腕だけになったのに再生してしまった。そんなバカげた話、科学的にあり得ない。もちろん、俺自身が日本で死んでここに転生してきたのだから『そういう世界だ』と言ってしまえばそれまでなんだが。だが、そうであるならば地球とは全く違う世界になってるはずじゃないか?
あの月は何なのか? なぜ、地球の時と同じなのか?
俺はこの世界のことを調べてみようと思った。この世界のことをちゃんと知ることが出来たら、ドロシーをこれ以上危険な目に遭わせなくても済むような気がしたのだ。
2-7. 乳酸菌の衝撃
この世界は生き返る魔法にしても、レベルアップや鑑定スキルにしても、あまりにゲーム的でとてもリアルな世界には感じない。明らかに誰かが作らないとこんなことにはならないだろう。となると、この世界は誰かが作ったMMORPGのような、リアルに見える世界に違いない。
で、あるならば、一般にゲーマーがやらないことをやれば世界は破綻してバグが見えるだろう。俺はありとあらゆる手段を使ってバグ探しをしてみることにした。それは俺の得意分野だった。
◇
翌日、俺は鋳造所へ足を運んだ。鋳物製品を作るところだ。鍋とか銅像なんかを作っている。
「こんにちは~」
俺は恐る恐る入ってみる。敷地の隅にはスクラップみたいな金属のクズが山盛りにされており、中には大きな教会の鐘も転がっていた。
俺は鐘に近づき、じっくりと観察する。高さは人の身長くらい、サイズは十分だ。
「坊主、どうした?」
ガタイのいい、筋肉質の男が声をかけてくる。
「この鐘、捨てちゃうんですか?」
「作ってはみたが、いい音が出なかったんでな、もう一度溶かして作り直しだよ」
そう言って肩をすくめる。
「これ、売ってもらえませんか?」
俺はニッコリと笑って聞いてみる。
「え!? こんなの欲しいのか?」
「ちょっと実験に使いたいんです」
「うーん、まぁスクラップだからいいけど……、それでも金貨五枚はもらうぞ?」
「大丈夫です! ついでにフタに出来る金属板と、こういう穴開けて欲しいんですが……」
俺はそう言って、メモ帳を開いてサラサラと図を描いた。
すると男は首を振って言う。
「おいおい、ここは鋳造所だぞ。これは鉄工所の仕事。紹介してやっからそこで相談しな」
あの月は何なのか? なぜ、地球の時と同じなのか?
俺はこの世界のことを調べてみようと思った。この世界のことをちゃんと知ることが出来たら、ドロシーをこれ以上危険な目に遭わせなくても済むような気がしたのだ。
2-7. 乳酸菌の衝撃
この世界は生き返る魔法にしても、レベルアップや鑑定スキルにしても、あまりにゲーム的でとてもリアルな世界には感じない。明らかに誰かが作らないとこんなことにはならないだろう。となると、この世界は誰かが作ったMMORPGのような、リアルに見える世界に違いない。
で、あるならば、一般にゲーマーがやらないことをやれば世界は破綻してバグが見えるだろう。俺はありとあらゆる手段を使ってバグ探しをしてみることにした。それは俺の得意分野だった。
◇
翌日、俺は鋳造所へ足を運んだ。鋳物製品を作るところだ。鍋とか銅像なんかを作っている。
「こんにちは~」
俺は恐る恐る入ってみる。敷地の隅にはスクラップみたいな金属のクズが山盛りにされており、中には大きな教会の鐘も転がっていた。
俺は鐘に近づき、じっくりと観察する。高さは人の身長くらい、サイズは十分だ。
「坊主、どうした?」
ガタイのいい、筋肉質の男が声をかけてくる。
「この鐘、捨てちゃうんですか?」
「作ってはみたが、いい音が出なかったんでな、もう一度溶かして作り直しだよ」
そう言って肩をすくめる。
「これ、売ってもらえませんか?」
俺はニッコリと笑って聞いてみる。
「え!? こんなの欲しいのか?」
「ちょっと実験に使いたいんです」
「うーん、まぁスクラップだからいいけど……、それでも金貨五枚はもらうぞ?」
「大丈夫です! ついでにフタに出来る金属板と、こういう穴開けて欲しいんですが……」
俺はそう言って、メモ帳を開いてサラサラと図を描いた。
すると男は首を振って言う。
「おいおい、ここは鋳造所だぞ。これは鉄工所の仕事。紹介してやっからそこで相談しな」



