「あ、そ、それは大丈夫! もう純潔ピッカピカだよ!」
俺は真っ赤になりながら答えた。
「良かった……」
ドロシーは胸をなでおろしながら目をつぶり、ゆっくりと微笑んだ。
「怖い目に遭わせてゴメンね」
俺は謝る。
「いやいや、ユータのせいじゃないわ。私がうかつに一人で動いちゃったから……」
すると、
ギュルギュルギュ~
と、ドロシーのおなかが鳴った。
また真っ赤になってうつむくドロシー。
「あはは、おなかすいたよね、まずはご飯にしよう」
その後、二人で夕飯を食べた。今日のことは触れないようにしようという暗黙の了解のもと、孤児院時代にバカやった話や、院長の物まねなど、他愛のないことを話して笑い合う。朝の大事件が嘘のように、二人はリラックスして温かい時間を過ごした。
日本にいた時、俺は何をやっていたんだろう。なぜ、日本では女の子とこうやって笑えなかったのだろう? 俺はちょっと感傷的になりながらも、のびやかに笑うドロシーを見て、心が温かくなっていくのを感じていた。
食事が終わると、俺はドロシーを家まで送っていった。
念のためにセキュリティの魔道具を設置し、誰かがやってきたら俺の所に連絡がくるようにしておく。さすがにしばらくは勇者側も動かないとは思うが。
◇
ドロシーの家からの帰り道、俺は月を見ながら歩いた。
月は石畳の道を青く照らし、明かりのついた窓からはにぎやかな声が漏れてくる。
「今日は月のウサギが良く見えるなぁ……」
満月の真ん丸お月様にウサギが餅つきしている模様……。
しかしこの時、俺は重大なことに気が付いた。
あれ? なんで日本から見てた月とこの月、模様が同じなんだろう……?
今まで月はこういうものだ、と思って何の不思議にも思ってこなかったが、よく考えるとそんなはずはない。ここはもう地球じゃないのだ。どこか別の星だとすれば、衛星も二個だったり色もサイズも模様も別になるはずだ。しかし、実際は地球と同じような衛星が一個だけ全く同じ模様で浮かんでいる。あり得ない……。
これは一体どういうことだろう?
俺は気づいてはいけないことに気づいた気がして、思わず背筋がゾッとするのを感じた。
俺は真っ赤になりながら答えた。
「良かった……」
ドロシーは胸をなでおろしながら目をつぶり、ゆっくりと微笑んだ。
「怖い目に遭わせてゴメンね」
俺は謝る。
「いやいや、ユータのせいじゃないわ。私がうかつに一人で動いちゃったから……」
すると、
ギュルギュルギュ~
と、ドロシーのおなかが鳴った。
また真っ赤になってうつむくドロシー。
「あはは、おなかすいたよね、まずはご飯にしよう」
その後、二人で夕飯を食べた。今日のことは触れないようにしようという暗黙の了解のもと、孤児院時代にバカやった話や、院長の物まねなど、他愛のないことを話して笑い合う。朝の大事件が嘘のように、二人はリラックスして温かい時間を過ごした。
日本にいた時、俺は何をやっていたんだろう。なぜ、日本では女の子とこうやって笑えなかったのだろう? 俺はちょっと感傷的になりながらも、のびやかに笑うドロシーを見て、心が温かくなっていくのを感じていた。
食事が終わると、俺はドロシーを家まで送っていった。
念のためにセキュリティの魔道具を設置し、誰かがやってきたら俺の所に連絡がくるようにしておく。さすがにしばらくは勇者側も動かないとは思うが。
◇
ドロシーの家からの帰り道、俺は月を見ながら歩いた。
月は石畳の道を青く照らし、明かりのついた窓からはにぎやかな声が漏れてくる。
「今日は月のウサギが良く見えるなぁ……」
満月の真ん丸お月様にウサギが餅つきしている模様……。
しかしこの時、俺は重大なことに気が付いた。
あれ? なんで日本から見てた月とこの月、模様が同じなんだろう……?
今まで月はこういうものだ、と思って何の不思議にも思ってこなかったが、よく考えるとそんなはずはない。ここはもう地球じゃないのだ。どこか別の星だとすれば、衛星も二個だったり色もサイズも模様も別になるはずだ。しかし、実際は地球と同じような衛星が一個だけ全く同じ模様で浮かんでいる。あり得ない……。
これは一体どういうことだろう?
俺は気づいてはいけないことに気づいた気がして、思わず背筋がゾッとするのを感じた。



