目前で立ち上る巨大なキノコ雲を目の前にして、命を何とも思わない勇者の悪魔の様な発想に俺は愕然とする。
ドロシー……、ドロシーはどうなってしまっただろうか?
爆煙たち込める爆心地は灼熱の地獄と化し、とても近づけない。
「あ、あぁぁ……ドロシー……」
折角アバドンが救ったというのに、爆発に巻き込んでしまった……。
俺は詰めの甘さを悔やんだ。勇者の恐ろしさを甘く見ていたのだ。
「ドロシー! ドロシー!!」
俺は激しく喉を突く悲しみにこらえきれず、空の上で涙をボロボロとこぼしながら叫んだ。
2-5. 残酷な腕
やがて爆煙がおさまってくると、俺は倉庫だった所に降り立った。
倉庫は跡形もなく吹き飛び、焼けて溶けた壁の石がゴロゴロと転がる瓦礫の山となっていた。
あまりの惨状に身体がガクガクと震える。
俺はまだブスブスと煙を上げる瓦礫の山を登り、ドロシーがいた辺りを掘ってみる。
熱い石をポイポイと放りながら一心不乱に掘っていく。
「ドロシー! ドロシー!!」
とめどなく涙が流れる。
石をどけ、ひしゃげた木箱や柱だったような角材を抜き、どんどん掘っていくと床が出てきた……が、赤黒く染まっている。なんだろう? と手についたところを見ると鮮やかに赤い。
血だ……。
俺は心臓がキュッとなって、しばらく動けなくなった。
鮮やかな赤はダイレクトに俺の心を貫く……。
手がブルブルと震える。
いや、まだだ、まだドロシーが死んだと決まったわけじゃない。
俺は首をブンブンと振ると、血の多い方向に掘り進める。
石をどかしていくと、見慣れた白い綺麗な手が見えた。
見つけた!
「ドロシー!!」
俺は急いで手をつかむ……が、何かがおかしい……。
「え? なんだ?」
俺はそーっと手を引っ張ってみた……。
すると、スポッと簡単に抜けてしまった。
「え?」
なんと、ドロシーの手は肘までしかなかったのである。
「あぁぁぁぁ……」
俺は崩れ落ちた。
ドロシーの腕を抱きしめながら、俺は、自分が狂ってしまうんじゃないかという程の激しい衝撃に全身を貫かれた……。
「ぐわぁぁぁ!」
俺は激しく叫んだ。無限に涙が湧き出してくる。
ドロシー……、ドロシーはどうなってしまっただろうか?
爆煙たち込める爆心地は灼熱の地獄と化し、とても近づけない。
「あ、あぁぁ……ドロシー……」
折角アバドンが救ったというのに、爆発に巻き込んでしまった……。
俺は詰めの甘さを悔やんだ。勇者の恐ろしさを甘く見ていたのだ。
「ドロシー! ドロシー!!」
俺は激しく喉を突く悲しみにこらえきれず、空の上で涙をボロボロとこぼしながら叫んだ。
2-5. 残酷な腕
やがて爆煙がおさまってくると、俺は倉庫だった所に降り立った。
倉庫は跡形もなく吹き飛び、焼けて溶けた壁の石がゴロゴロと転がる瓦礫の山となっていた。
あまりの惨状に身体がガクガクと震える。
俺はまだブスブスと煙を上げる瓦礫の山を登り、ドロシーがいた辺りを掘ってみる。
熱い石をポイポイと放りながら一心不乱に掘っていく。
「ドロシー! ドロシー!!」
とめどなく涙が流れる。
石をどけ、ひしゃげた木箱や柱だったような角材を抜き、どんどん掘っていくと床が出てきた……が、赤黒く染まっている。なんだろう? と手についたところを見ると鮮やかに赤い。
血だ……。
俺は心臓がキュッとなって、しばらく動けなくなった。
鮮やかな赤はダイレクトに俺の心を貫く……。
手がブルブルと震える。
いや、まだだ、まだドロシーが死んだと決まったわけじゃない。
俺は首をブンブンと振ると、血の多い方向に掘り進める。
石をどかしていくと、見慣れた白い綺麗な手が見えた。
見つけた!
「ドロシー!!」
俺は急いで手をつかむ……が、何かがおかしい……。
「え? なんだ?」
俺はそーっと手を引っ張ってみた……。
すると、スポッと簡単に抜けてしまった。
「え?」
なんと、ドロシーの手は肘までしかなかったのである。
「あぁぁぁぁ……」
俺は崩れ落ちた。
ドロシーの腕を抱きしめながら、俺は、自分が狂ってしまうんじゃないかという程の激しい衝撃に全身を貫かれた……。
「ぐわぁぁぁ!」
俺は激しく叫んだ。無限に涙が湧き出してくる。



