「だ、ダメだ! すぐに探して! お願い! どっち行った?」
「だから言いましたのに……。南の方に向かいましたけど、その先はわかりませんよ」
俺は急いで窓を開け、パジャマのまま空に飛び出した。
「南門上空まで来てくれ!」
俺はアバドンにそう叫びながらかっ飛ばした。
まだ朝もや残る涼しい街の上を人目をはばからずに俺は飛んだ。
油断していた。まさかこんな早朝に襲いに来るとは……。
夢に翻弄され、アバドンの警告を無視した俺を呪った。
2-3. 奴隷にされた少女
南門まで来ると、浮かない顔をしてアバドンが浮いていた。
「悪いね、どんな幌馬車だった?」
俺が早口で聞くと、
「うーん、薄汚れた良くある幌馬車ですねぇ、パッと見じゃわからないですよ」
そう言って肩をすくめる。
俺は必死に地上を見回すが……朝は多くの幌馬車が行きかっていて、どれか全く分からない。
「じゃぁ、俺は門の外の幌馬車をしらみつぶしに探す。お前は街の中をお願い!」
「わかりやした!」
俺はかっ飛んで、南門から伸びている何本かの道を順次めぐりながら、幌馬車の荷台をのぞいていった――――
何台も何台も中をのぞき、時には荷物をかき分けて奥まで探した。
俺は慎重に漏れの無いよう、徹底的に探す――――。
しかし……、一通り探しつくしたのにドロシーは見つからなかった。
頭を抱える俺……。
考えろ! 考えろ!
俺は焦る気持ちを落ち着けようと何度か深呼吸をし、奴らの考えそうなことから可能性を絞ることにした。
攫われてからずいぶん時間がたつ。もう、目的地に運ばれてしまったに違いない。
目的地はどんなところか?
廃工場とか使われてない倉庫とか、廃屋とか……人目につかないちょっと寂れたところだろう。そして、それは街の南側のはずだ。
俺は上空から該当しそうなところを探した。
街の南側には麦畑が広がっている。ただ、麦畑だけではなく、ポツポツと倉庫や工場も見受けられる。悪さをするならこれらのどれかだろう。
俺は上空を高速で飛びながらそれらを見ていった。
「旦那様~、いませんよ~」
アバドンが疲れたような声を送ってくる。
「多分、もう下ろされて、廃工場や倉庫に連れ込まれているはずだ。そういうの探してくれない?」
「なるほど! わかりやした!」
「だから言いましたのに……。南の方に向かいましたけど、その先はわかりませんよ」
俺は急いで窓を開け、パジャマのまま空に飛び出した。
「南門上空まで来てくれ!」
俺はアバドンにそう叫びながらかっ飛ばした。
まだ朝もや残る涼しい街の上を人目をはばからずに俺は飛んだ。
油断していた。まさかこんな早朝に襲いに来るとは……。
夢に翻弄され、アバドンの警告を無視した俺を呪った。
2-3. 奴隷にされた少女
南門まで来ると、浮かない顔をしてアバドンが浮いていた。
「悪いね、どんな幌馬車だった?」
俺が早口で聞くと、
「うーん、薄汚れた良くある幌馬車ですねぇ、パッと見じゃわからないですよ」
そう言って肩をすくめる。
俺は必死に地上を見回すが……朝は多くの幌馬車が行きかっていて、どれか全く分からない。
「じゃぁ、俺は門の外の幌馬車をしらみつぶしに探す。お前は街の中をお願い!」
「わかりやした!」
俺はかっ飛んで、南門から伸びている何本かの道を順次めぐりながら、幌馬車の荷台をのぞいていった――――
何台も何台も中をのぞき、時には荷物をかき分けて奥まで探した。
俺は慎重に漏れの無いよう、徹底的に探す――――。
しかし……、一通り探しつくしたのにドロシーは見つからなかった。
頭を抱える俺……。
考えろ! 考えろ!
俺は焦る気持ちを落ち着けようと何度か深呼吸をし、奴らの考えそうなことから可能性を絞ることにした。
攫われてからずいぶん時間がたつ。もう、目的地に運ばれてしまったに違いない。
目的地はどんなところか?
廃工場とか使われてない倉庫とか、廃屋とか……人目につかないちょっと寂れたところだろう。そして、それは街の南側のはずだ。
俺は上空から該当しそうなところを探した。
街の南側には麦畑が広がっている。ただ、麦畑だけではなく、ポツポツと倉庫や工場も見受けられる。悪さをするならこれらのどれかだろう。
俺は上空を高速で飛びながらそれらを見ていった。
「旦那様~、いませんよ~」
アバドンが疲れたような声を送ってくる。
「多分、もう下ろされて、廃工場や倉庫に連れ込まれているはずだ。そういうの探してくれない?」
「なるほど! わかりやした!」



