アルが目を輝かせて聞いてくる。
「魔剣持ってるの?」
「あー、彼が抜け出ちゃったからもう魔剣じゃないけどね」
「なんだ、つまんない」
「それは、魔物を野に放ったということじゃないか?」
ジャックは俺をにらんで言う。
「剣から出す時に『悪さはしない』ということを約束してるので大丈夫ですよ。実際、まじめに働いてたじゃないですか」
俺はにっこりと笑って言う。
「ダンジョンのボスがお仕事だなんて……一体何なのかしら……?」
エレミーはため息をつきながら言う。
それは俺も疑問だ。金塊出したり、魔物雇ったり、ダンジョンの仕組みは疑問なことが多い。
「今度彼に聞いておきますよ。それともこれから呼びましょうか?」
俺はニヤッと笑った。
「いやいやいや!」「勘弁して!」「分かった分かった!」
皆、必死に止める。
あんな恐ろしげな魔物、下手したらこの街もろとも滅ぼされてしまうかもしれない、と思っているのだろう。皆が二度と会いたくないと思うのは仕方ない。俺からしたらただの奴隷なのだが。
「そうですか? まぁ、みんな無事でよかったじゃないですか」
そう言ってエールをグッとあおった。
みんな腑に落ちない表情だったが、これ以上突っ込むとやぶ蛇になりそうだと、お互い目を見合わせて渋い表情を見せた。
「そうだ! そもそもジャックがあんな簡単なワナに引っかかるからよ!」
エレミーがジャックにかみついた。
ジャックはいきなり振られて慌てたが、
「すまん! あれは本当にすまんかった!」
そう言って深々と頭を下げた。
俺は、立ち上がり、
「終わったことは水に流しましょう! カンパーイ!」
と、ジョッキを前に掲げた。
エレミーはジャックをにらんでいたが……、目をつぶり、軽くうなずくとニコッと笑ってジョッキを俺のにゴツっとぶつけ、
「カンパーイ!」
と、言った。
そして、続くみんな。
「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」
皆のジョッキがぶつかるゴツゴツという音が響いた。
俺は念願のダンジョンに行けて満足したし、結構楽しかった。
今度また、アバドンに案内させて行ってみようかな? 俺は、日本では考えられない、楽しい異世界ライフに思わずニヤッと笑ってしまった。
2章 横暴なる勇者
2-1. 最悪な邂逅
「魔剣持ってるの?」
「あー、彼が抜け出ちゃったからもう魔剣じゃないけどね」
「なんだ、つまんない」
「それは、魔物を野に放ったということじゃないか?」
ジャックは俺をにらんで言う。
「剣から出す時に『悪さはしない』ということを約束してるので大丈夫ですよ。実際、まじめに働いてたじゃないですか」
俺はにっこりと笑って言う。
「ダンジョンのボスがお仕事だなんて……一体何なのかしら……?」
エレミーはため息をつきながら言う。
それは俺も疑問だ。金塊出したり、魔物雇ったり、ダンジョンの仕組みは疑問なことが多い。
「今度彼に聞いておきますよ。それともこれから呼びましょうか?」
俺はニヤッと笑った。
「いやいやいや!」「勘弁して!」「分かった分かった!」
皆、必死に止める。
あんな恐ろしげな魔物、下手したらこの街もろとも滅ぼされてしまうかもしれない、と思っているのだろう。皆が二度と会いたくないと思うのは仕方ない。俺からしたらただの奴隷なのだが。
「そうですか? まぁ、みんな無事でよかったじゃないですか」
そう言ってエールをグッとあおった。
みんな腑に落ちない表情だったが、これ以上突っ込むとやぶ蛇になりそうだと、お互い目を見合わせて渋い表情を見せた。
「そうだ! そもそもジャックがあんな簡単なワナに引っかかるからよ!」
エレミーがジャックにかみついた。
ジャックはいきなり振られて慌てたが、
「すまん! あれは本当にすまんかった!」
そう言って深々と頭を下げた。
俺は、立ち上がり、
「終わったことは水に流しましょう! カンパーイ!」
と、ジョッキを前に掲げた。
エレミーはジャックをにらんでいたが……、目をつぶり、軽くうなずくとニコッと笑ってジョッキを俺のにゴツっとぶつけ、
「カンパーイ!」
と、言った。
そして、続くみんな。
「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」
皆のジョッキがぶつかるゴツゴツという音が響いた。
俺は念願のダンジョンに行けて満足したし、結構楽しかった。
今度また、アバドンに案内させて行ってみようかな? 俺は、日本では考えられない、楽しい異世界ライフに思わずニヤッと笑ってしまった。
2章 横暴なる勇者
2-1. 最悪な邂逅



