「アーティファクト!? なんだ、そんなもの持ってたのか!?」
「ただ、高価ですし、数も限りがありますから早く脱出を目指しましょう」
「そ、そうだな……しかし、どこに階段があるのか皆目見当もつかない……」
 悩むエドガー。
「私が見てきましょう。隠ぺいのアーティファクト持ってるので、魔物に見つからずに探せます」
「ユータ……、お前、すごい奴だな」
 エドガーはあっけにとられたような表情で言う。

 エレミーが駆け寄ってきて、俺の手を取り、両手で握りしめて言う。
「ユータ、今の本当? 本当に大丈夫なの?」
 目には涙すら浮かんでいる。
 俺はちょっとドギマギしながら、
「だ、大丈夫ですよ、みなさんは休んで待っててください」
 俺はニッコリと笑った。
 そして、近くの大きな木の陰にリュックを下ろし、
「ここで待っててくださいね」
 と、みんなに言う。

 アルは、
「いいとこ見せられないどころか、お前ばっかり、ごめんな」
 と、言ってしょげる。
「あはは、いいってことよ。みんなに水でも配ってて。それじゃ!」
 俺はアルの肩をポンポンと叩き、タッタッタと森の中へ駆けて行った。
 十分に距離が取れたところで、俺は隠ぺい魔法をかけて空へと飛んだ。上空から見たら何かわかるかもしれない。
 俺はどんどん高度を上げていく。眼下の景色はどんどんと小さくなり、この世界の全体像が見えてきた。森に草原に湖……でもその先にまた同じ形の森に草原に湖……。どうやらこの世界は一辺十キロ程度の地形が無限に繰り返されているだけのようだった。一体、ダンジョンとは何なのだろうか……?
 よく見ると、湖畔には小さな白い建物が見える。いかにも怪しい。俺はそこに向かった。

 綺麗な湖畔にたたずむ白い建物。それは小さな教会のようで、シンプルな三角の青い屋根に、尖塔が付いていた。なんだかすごく素敵な風景である。
 ファンタジーって素晴らしいな……。俺はつい上空をクルリと一回りしてしまう。
 湖畔の教会はまるでアートのように美しく、俺の心を癒した。

 あまりゆっくりもしていられないので、入り口の前に着地し、ドアを開けてみる。
 ギギギーッときしみながら開くドア。
 中はガランとしており、奥に下への階段があった。なるほど、ここでいいらしい。と、思った瞬間、いきなり胸の所が爆発し、吹き飛ばされた。
「ぐわぁ!」