しかし、カカシは微動だにしなかった。
「え?」
「あれ? 斬れてないぞ?」
 皆が不思議がる中、カカシはやがて斜めにズズズとずれ、真っ二つになってコテンと転がった。

「え――――!?」「ナニコレ!?」
 驚きの声が広場にこだまする。
 いまだかつて見たことのないような斬れ味に一同騒ぎまくる。
 エドガーは中堅のCランク冒険者だが、斬れ味はトップクラスのAランク以上だった。






1-9. チート、スタート!

 あまりのことに混乱したエドガーは俺に聞いてくる。
「ちょっとこれ、どういうこと?」
「その剣は紅蓮虎吼(ぐれんこほう)剣といって、由緒あるすごい剣なんです」
 俺はニコニコしながら言った。
「いやいや、これなら今まで行けなかったダンジョンの深層に行ける。これは楽しみになってきた!」
 エドガーは改めて紅蓮虎吼(ぐれんこほう)剣をまじまじと眺めた。刀身には金色で虎の装飾が彫ってあり、実に豪勢な造りとなっている。
「じゃぁ使ってくれますね?」
「もちろん! いや、これちゃんとお金払うよ!」
 と、言ってくれる。
「命の恩人からはお金取れません。その代わり、お客さん紹介してもらえますか?」
「いやー、このレベルの武器を売ってくれるなら、いくらでも欲しい人はいるよ。なぁみんな?」
 そう言って、やじ馬の方を向いた。

「俺も欲しい!」「俺も俺も!」
 やじ馬も目の色を変えて言ってくる。
 これで販路開拓もOKである。俺は幸先の良いスタートにホッとした。

 結局その日は★3の武器二本を金貨四枚で売って、金貨二枚の利益となった。日本円にして20万円である。いい商売だ。★3なら金貨二枚、★4なら十枚で売っていけるだろう。この価格なら……、月商一千万円、利益五百万!? えっ!?

 俺は暗算して思わず声を上げそうになった。俺、なんだかすごい金鉱脈を掘り当てたんじゃないか?

「ヤッホ――――イ!!」
 帰り道、俺はスキップしながら腕を高々と突き上げた。無一文だった孤児がついに成功の糸口にたどり着いたのだ。もう、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。

 これもドロシーの協力あってこそ。
 俺はケーキ屋でリボンのついた可愛いクッキーを買った。喜んでくれるかな?

       ◇

 翌日、おじいさんのお店に行こうと街を歩いていると、