自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 女性は完ぺきなスマイルで聞いてくる。

「フォーマルとカジュアルを一着ずつ……あ、妻と私両方ですね。両方とも落ち着いたもので。それから、彼女は妊婦なので、おなかがキツくないものをお願いします」
「かしこまりました。今、候補を見繕ってまいります」

 女性が出ていくと、ドロシーは、
「私、こんな服で来ちゃった……。なんだか恥ずかしいわ……」
「ドロシーは何着てても最高に美しいから大丈夫」
「もう! そういうことじゃないのよ……」
 ドロシーはちょっとふくれた。

 結局、そこでたくさん買い物をして、ドロシーはすぐに着替えた。
 グレーのシャツに清涼感のあるミントグリーンのパンツ、そして少し透けたアイボリーの長めのシャツに金のネックレスをつける。
 女性の見立ては素晴らしく、銀髪で白い肌のドロシーの美しさが何倍も引き立っていた。

 会計はもちろんブラックカード。
 なんだか見たこともない、すごい高額なレシートになっていたが、日本経済を揺るがすレベルではないのでセーフだろう。

 店を出ると運転手が立って待っていた。次はレストランだ。
 レストランは同じく銀座のフレンチ。
 そこではフォアグラのパイ包みとワインを楽しんだ。ドロシーは最初フォアグラに警戒していたものの、その圧倒的なおいしさに目を丸くしていた。
 俺はその席で全てを話した。世田谷で生まれ、東京タワーのそばの大学に入り、ヴィーナと知り合い、就職に失敗し、自暴自棄な暮らしをして死んだこと。そして、ヴィーナに転生させてもらったこと……。ドロシーは何も言わず淡々と聞いていた。

「今まで黙っていてゴメンね」
 俺は頭を下げて謝った。
 ドロシーは俺をチラッと見て、オレンジジュースを一口飲み、言った。
「実は……、私も転生者なの……」
 俺は仰天した。
「えぇっ!?」

 ドロシーは驚く俺を見て、フフッと笑うと言った。
「嘘よ。ちょっと意地悪しちゃった、ゴメンね。でも、これでおあいこよ」
「なんだ……、もう……」
「でも……。たまに前世のような夢を見るのよ。もしかしたら本当に転生者なんだけど気づいてないだけかもしれないわ」
「ふぅん……。まぁ、この世界何でもアリだからなぁ……」
 俺はワインをグッとあおった。

        ◇

 ホテルは最上階のスイートルーム。カーテンを開けると絶景の夜景が広がっていた。