自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 車寄せまで歩いて行くと、黒塗りの豪奢な外車の前に、スーツをビシッと決めた男性が背筋をピンとさせて立っていた。
「瀬崎様ですか?」
 ニッコリと笑う男性。
「そ、そうですが……」
「どうぞ……」
 そう言って男性はうやうやしく後部座席のドアを開けた。
 乗り込むと中は広く、豪奢な革張りの座席で革のいい香りが漂ってくる。
「お飲み物は何がよろしいですか?」
 男性がニッコリと聞いてくる。
「俺はシャンパンがいいな。ドロシーはアルコールダメだから……、ジュースでいい?」
 ドロシーはちょっと緊張した顔でうなずく。
「じゃぁ、妻にはオレンジジュースで」
「かしこまりました」

 俺たちはドリンクを飲みながら出発した。
 スーッと何の振動もなく静かに動き出す車。そして、男性の丁寧な運転で都内のにぎやかな通りを進む。
 ドロシーは街の風景に目が釘付けだった。行きかうたくさんの自動車に、派手な看板の並ぶ街並み、そして道行く人たちの目を引くファッション……。

「何か音楽かけましょうか?」
 男性が声をかけてくる。
「あー、じゃ、洋楽のヒットナンバーをお願い」
 今、何が流行ってるかなんて皆目見当がつかないので、適当に頼む。
 上質なカーオーディオから英語のグルーヴィなサウンドが流れてくる。
 ドロシーは初めて聞く音楽に目を丸くして俺を見た。
 俺はニッコリとほほ笑んだ。そう、これが俺の住んでいた世界なんだよ。
 






6-13. 今日は水浴びするの!

 銀座のブティックの前で車は静かに止まった。
 運転手がうやうやしくドアを開けてくれる。
 車を降りると、美しい女性が立っていた。清潔感のあるスーツに身を包み、ニコリと笑って、
「お待ちしておりました」
 と、折り目正しく丁寧なお辞儀をした。

 こんなVIPな応対、生まれてこの方受けた事が無い。ちょっとビビりながら答える。
「あ、ありがとう」

 女性に案内されて店内に入ると、店員たちが両側に並んでいて、頭を下げてくる。天井には見事なシャンデリアが下がり、高級な服が丁寧に飾られている。
「こちらへどうぞ」
 女性は奥の応接間に俺たちを通し、ソファーを勧め、ティーカップを並べて紅茶を注いだ。
 まるで貴族のような待遇にドロシーはすごく緊張しているようだ。
「どういった装いを希望されますか?」