自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

「電波……って何?」
「テレビを……ってテレビも分かんないよね……」
 説明に(きゅう)する俺。
「なんだか不思議な世界ね……」
 ドロシーは銀髪を風に揺らしながら東京の景色をボーっと見ていた
 俺はドロシーを後ろから抱きしめ、一緒に眺める。
 夕暮れの風が気持ちいい……。

「ここが……、あなたの産まれた街?」
「そう。最期にはその東京タワーの近くに住んでたんだ」
「ふぅん……」

 屋上は展望フロアになっていて、観光客がちらほら見える。
 ドロシーは、
「あっちも見てみる!」
 そう言って反対側に駆けだした。
「走っちゃ危ないよ!」
「大丈夫!」
 元気に叫ぶドロシーだが……。

「もう、一人の身体じゃないんだぞ!」
 俺がそう言うと、ピタッと止まって……、クルッとこっちを向く。
「そ、そうよね……」
 そう言ってお腹を両手で優しくなでながら、申し訳なさそうな顔をした。
 俺はドロシーに近づいて、そっとお腹に手を当て、言った。
「気を付けてね……」
「うん……」
 ドロシーは嬉しそうに優しく微笑んだ。

       ◇

 ピロン!
 ポケットのiPhoneが鳴った。
 見るとメッセージが来ている。
『明日、十時オフィス集合のこと。今晩はゆっくり楽しんで(´▽`*)』
 ヴィーナからだった。
 何億円使っても構わないんだから今晩はパーッとやろう。
 俺はブラックカードのコンシェルジュデスクに電話した。

『はい、瀬崎様。ご要望をお聞かせください』
 しっかりとした言葉づかいの若い男性が出た。
「えーとですね、妻と二人で六本木にいるんだけど、一番いいホテルとレストラン、それから、服も一式そろえたいんですが」
『かしこまりました。お食事はフレンチ、イタリアン、中華、和食とありますが……』
「フレンチにしようかな」
『かしこまりました。それではお車でお迎えに上がります』
 迎えに来てくれるそうだ。ブラックカードって何なんだろう? いいのかな?

       ◇

 エレベーターに乗ると、ドロシーは
「え? 何なのこの建物?」
 と、言いながら、高速で降りていく感覚に不安を覚えていた。
「ははは、東京ではこれが普通なんだよ」
 そう言って、ドロシーの身体をそっと引き寄せた。