自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

「ふふっ、がんばって! はい、うちのスタッフセットね」
 そう言って、ヴィーナは最新型のiPhoneとクレジットカードと名刺を俺に渡した。
「え!? いいんですか?」
「あなたはもう、この宇宙を(つかさど)る『株式会社DeepChild』のスタッフ。自信持ちなさい。そのカードは利用限度額無しのブラックカード。コンシェルジュに電話すれば何でも(かな)えてくれるわよ」
「うはぁ……。え? 幾らまで使っていいんですか?」
「日本経済がおかしくならない範囲で使ってね」
 ヴィーナは美しい琥珀色の瞳でパチッとウインクした。

 俺は絶句した。何億円使ってもいいらしい。黒光りするチタンのカード。それは俺の想像を超えたパワーを秘めた重さがあった。

「ドロシー、新婚旅行は東京になったよ」
 俺はニッコリと笑いながら話しかける。
「東京?」
 首をかしげるドロシー。

「俺の産まれた街さ。俺、実はこの星の産まれじゃないんだ。今まで黙っててゴメン」
「……。そうじゃないかと思ってたわ。院長もそんなこと言ってたし……」
「ゴメンね。詳しくは東京のレストランで話すね」
「うん、全部教えて!」
 ドロシーはうれしそうに笑った。
「レヴィア様、アバドン、研修が終わったらゆっくり食事でもしましょう」
「待っとるぞ!」「楽しみです! グフフフ」

 俺たちのやり取りを微笑みながら見ていたヴィーナは、
「それじゃ、しゅっぱーつ!」
 そう叫んで、ビシッと扇子を高々と掲げた。










6-12. ブラックカードのパワー

 俺は気が付くと超高層ビルの屋上にいた。

「きゃぁ! なんなの……これ……!?」
 ドロシーが目を真ん丸くして、眼下に広がる東京の街並みを見回している。陽が傾きかけた東京の街はビッシリとビルが埋め尽くし、新宿や丸の内など要所に超高層ビルが密集している。それは十六年前の記憶と大差なく、とても懐かしく、そして新鮮だった。海を背景に東京タワーが近くに見えるから、ここは六本木の丘のビルだろう。
「これが東京だよ。ここは建物の屋上、五十階以上あるからすごく高いよね」
「五十階!?」
 ドロシーが驚く。アンジューの街にある一番高い建物が五階建て。五十階なんて想像を絶しているだろう。
「あれが東京タワー、昔使ってた電波塔だよ」
 俺は赤く見える可愛い塔を指さす。