自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 シアンはうれしそうに言う。

 と、その時、キィーンという高周波が響き、まぶしい光がホールにほとばしった。
「うわぁ!」「キャ――――!」
 悲鳴が上がる。
 光が収まって見ると、空中に金色のドレスの女性が浮いていた。整った目鼻立ちに鋭い琥珀(こはく)色の瞳……美奈先輩だ! だが……、印象が全然違う。さっき見た美奈先輩とも違う感じがする。
 レヴィアが駆け寄ってビビりながら言う。
「こ、これはヴィーナ様! わざわざお越し下さり……」
「レヴィア! これは何なの!?」
 ヴィーナはそう言ってレヴィアをにらんだ。

「これは……そのぉ……」
 冷や汗をかき、しどろもどろのレヴィア。
「ヌチ・ギという管理者が悪さをしたんです」
 俺が横から説明する。
「あぁ、あなた……豊くん……ね。ずいぶんいい面構えになったわね」
 ニヤッと笑って俺を見るヴィーナ。
「転生させてもらったおかげです。ありがとうございます。なぜ……、サークルで踊っていた時と感じが……違うんですか?」
「あぁ、あの子は私のクローンなのよ。私であって私じゃないの」
「えっ!? クローン?」
「あの子は地球生まれだからね、ちょっとフレッシュなのよ」
 そう言ってニッコリと笑った。
「そ、そうでしたか……」
 違う人なのか、とちょっと落胆していると、
「ふふっ」
 そう笑ってヴィーナは踊りだした。リズミカルに左右に重心を移しながら、足をシュッシュと伸ばし、肩を上手く使いながら腕を回し、収める。
 それは一緒に踊ってた時の振り付けそのままだった。

 俺は続きを思い出して踊る……。
 右に一歩、戻って左に一歩、腕をリズミカルに合わせる。
 すると、ヴィーナもついてくる。
 一緒に手を回し、右足を出すと同時に左手を伸ばし、次は逆方向、今度は逆動作をしてクルッと回って手を広げた……。見つめ合う二人……。
 俺はニヤッと笑って両手を上げる。そしてハイタッチ……。
「覚えててくれたんですね」
 ちょっと息を弾ませながらそう言うと、ヴィーナは、
「記憶と体験は共有してるのよ」
 そう言ってニッコリと笑った。

 俺は覚悟を決めて切り出す。
「この星は、確かに今までは問題だらけでしたけど、これからは変わります。だからもう少し様子を見てて欲しいんです」
 ヴィーナは俺をジッと見る……。