自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 レヴィアは肩をすくめ首を振る。
「じゃ、この壁は?」
「蜘蛛の足に生えている毛の表面じゃないかのう? 足一本の太さが数キロメートルはあるでのう」
 俺は絶句した。
「ヌチ・ギの巨大化レーザー発振器が蜘蛛に……。止めようと思ったんだけど体が動かなくて……」
 ドロシーが小さな声で説明する。

 ゴゴゴゴゴゴゴ
 いきなり蜘蛛が動き出した。
 バラバラと神殿の大理石が崩落してくる。
 動いた足を見上げると、それはポッカリと浮かぶ雲を突き抜け、はるか高く一直線に宇宙にまで伸びていた。宇宙に届く物など俺は生まれて初めて見た。もし、宇宙エレベーターがあったとしたらこういう風になるのだろう。そして蜘蛛の身体が遠く熊本の上空辺りに見える。雲のはるか彼方上に霞んで見えるその巨体は、もはや生き物というより超巨大宇宙ステーションだった。

「何をボヤッとしとる! 逃げるぞ!」
 レヴィアは空間を割くと御嶽山の俺のログハウスに繋げ、俺たちを放り込んだ。
 蜘蛛はどこへ行くつもりだろうか? あんな物が動き回ったら大災害だ。一難去ってまた一難。俺は気が遠くなった。











6-2. 最新型iPhone

 ログハウスのデッキでレヴィアはスマホを取り出した。まさかこの世界でスマホを見ることになるとは……。
 カメラレンズがいくつもついたゴツくて、でもスタイリッシュなピンク色のスマホの電源を入れると、懐かしいリンゴのマークが浮かんだ。

「え!? もしかしてiPhone……ですか?」
「そうじゃ、最新型じゃぞ、ええじゃろ」
 レヴィアはニヤッと笑う。
「え? 電波届くんですか?」
「ちっくら空間をつなげて電波を拾うんじゃ」
「女神様に連絡取るのにスマホってなんだか不思議ですね……」
「こういうローテクのガジェットというのは風情があって人気なのじゃ。それに正式な申請だとご本人まで届かんかもしれん……」
 なるほど、こういうお願いならスマホが一番かもしれない。

「さて、かけるかのう……。ふぅ……。緊張してきた……」
 ひどく緊張した様子のレヴィア。こんなレヴィアを見るのは初めてだった。
 レヴィアは大きく息をして、覚悟を決めるとスマホの『ヴィーナ様♡』をタップした――――。