自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 美しい……。

 そして、次の瞬間、俺はこれが何かわかってしまった。これがマインドカーネルなのだ。
 であるならば、この煌めきの一つ一つは一人の人間の魂の輝き、つまり喜怒哀楽のエネルギーの発露なのだ。今、俺の目の前で何億人という人々の魂の営みが輝いている。
 俺は初めて見た人間の根源に感極まり、胸が熱くなってくるのを感じた。そうか、そうだったのか……。人間とは巨大な花の中で輝き合う存在……この煌めきこそが人間だったのだ。
 俺は自然とあふれてくる涙をぬぐいもせず、ただ、魂の煌めきに魅せられていた。

  さっき見た巨大なサーバー、その中身はこんなにも美しい幻想的な世界だったのだ。

 この世界が仮想現実空間だと初めて聞いた時、凄くもやもやしたが、今、こうやってその中枢を見ると、仮想かどうかというのはどうでもいい事だということが分かる。人間にとって大切なのはそのハードウェア構造なんかではない、魂が熱く輝けるかどうかだ。それにはどんな形態をとっていても構わない。むしろ、こういう美しい花の中で美しく輝く世界の方が自然で正しいのではないだろうか?

 俺は煌めきの洪水に見()れて、しばらく動けなくなった。

        ◇

 人間はここに全員いるという事は俺もドロシーもいるはずだ。俺はふわふわと浮かびながら自分の魂を探してみた。
 心のおもむくまま、巨大なテントのようになっている花びらの下にもぐり、しばらく行くと、オレンジ色に輝く点を見つけた。見ていると俺の呼吸に従って明るさが同期している。間違いない、俺の魂だ。俺は自分の心の故郷にやってきた。十六年間、俺はずっとここで笑い、泣き、怒ってきたのだ。俺はそっと指を当て、魂の息づかいを感じた。
 次にドロシーのことを思ってみた。感じるままに探していくと、すぐ近くに今にも消えそうな青い光を見つけた。
「えっ!?」
 俺は心臓が止まりそうになった。何だこれは!? 死にそう……なのか?
 こんなことしている場合ではない、早く神殿に戻らないと!
 俺は再度深呼吸を繰り返し、本来の自分の体への接続を探す。

 大きく息を吸って……、吐いて……。
 吸って……、吐いて……。

 俺はオレンジ色の光に包まれた。さっきマインドカーネルで見た輝く点の中のようだ。ここでしばらく意識の流れに身を任せてみる……。