自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に


「追いかけてきますよ」
「しつこい奴らじゃ……」

 ヴィーン! ヴィーン!
 いきなり警報が鳴った。
『設計温度の上限を超えています。直ちに回避してください。設計温度の上限を超えています。直ちに回避してください』
「うるさいのう……。そんなの分かっとるんじゃ!」
 シャトルの前方全体が赤く光りだした。ものすごい速度で空気にぶつかっているので、断熱圧縮でどんどん温度が上がってしまっている。まさに流星状態である。

 シャトルが燃え上がるのが先か、スカイパトロールが諦めるのが先か……。
 俺はただ、祈ることしかできなかった。
 船内にはゴォォォーという恐ろしい轟音が響き、焦げ臭いにおいが(ただよ)い始める。

「奴らもヤバいはずなんじゃが……」
 レヴィアは眉間(みけん)にしわを寄せながら立体レーダーをにらむ。

 ボン!
 シャトルの右翼の先端が爆発し、シャトルが大きく揺れた。操縦パネルに大きく赤く『WARNING』の表示が点滅する。
「レヴィア様、ここは減速しましょう!」
 俺は真っ青になって言う。死んでしまったら元も子もないのだ。しかし、レヴィアは、
「黙っとれ! ここが勝負どころじゃ!」
 と、叫び、パネルの温度表示をにらむ。
 どんどん上がっていく温度……。
 俺は冷や汗が噴き出してきて止まらない。一度死んで生まれ変わったこの人生。今死んだらどうなるのだろうか? また美奈先輩の所へ行けるのだろうか? 行けたとしてまた生まれ変わらせてくれるのだろうか? 確か『一回だけ』と、言われていたような……。
 いや、これは俺だけの問題じゃない。ドロシーもアンジューのみんなの問題でもあるのだ。こんなところで死ぬわけにはいかない。
 俺は必死に祈った。それこそ、全力で祈った。

 その時だった。
「ヨシッ!」
 レヴィアはエンジンに最大の逆噴射をかける。激しいGがかかり、シートベルトが俺の身体に食い込む。
 見ると、レーダー上でスカイパトロールが進路を変更していく。
 
 次の瞬間、ボシュッと音がして目の前が真っ白になった。どうやら高層雲に突っ込んだようだ。
 しかし温度はなかなか下がらない。

 ボン!
 今度は左翼の先端が爆発し、シャトルはきりもみ状態に陥った。
 グルグルと回る視界の中、俺は叫ぶ。
「レヴィア様ぁ!」
「うるさい、黙っとれ!」