自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 いきなり船内が真っ赤に輝いた。
「うわっ!」
 恐る恐る目を開けると目の前に『STOP』という赤いホログラムが大きく展開されている。
「ラッキー!」
 レヴィアはそう言うと、ケーブルに工具を当て、作業を開始する。
「見えさえすればチョチョイのチョイじゃ!」
 そう、軽口を叩きながら手早くケーブルを修復するが、

 パン! パン!

 威嚇射撃弾がシャトルの周辺で次々とはじける。

「レヴィア様ぁ!」
 俺は真っ赤に輝く船内で間抜けな声を出す。

「ホイ、できた! 行くぞ!」
 そう言ってレヴィアがケーブルをしまい、パネルを閉めた。

 ブゥゥン!
 起動音がして操縦パネルが青く光り、船室にも明かりがともった。
 修理できたのは良かったが、スカイパトロールは本気だ。俺はこれから始まる逃走劇に胃がキリキリと痛んだ。







5-6. 正すべき歪み

 キィィィ――――ン!
 甲高い音が響き、ゆっくりとエンジンに火が入る。

『S-4237F、直ちに停船しなさい。繰り返す。直ちに停船しなさい』
 スピーカーも復活し、スカイパトロールからの警告が響く。
「しつこいのう……」
 レヴィアは画面を操作して救難信号を発した。
『システムトラブル発生。救難を申請します。システムトラブル発生。救難を申請します』
 スピーカーから無機質な声が流れる。

「まずは遭難を装うのが基本じゃな。そしてこうじゃ!」
 レヴィアは舵を操作して、海王星に真っ逆さまに落ちて行くルートをとった。
 通常、大気圏突入時には浅い角度で徐々に速度を落としながら降りていく。急角度で突入した場合、燃え尽きてしまうからだ。しかし、レヴィアの選んだルートは燃え尽きるルート、まさに自殺行為だった。
 俺は焦って、
「レヴィア様、それ、危険じゃないですか?」
 と、聞いた。
「スカイパトロールから逃げきるにはこのルートしかない。奴らは追ってこれまい」
「そりゃ、こんな自殺行為、追ってこられませんが……、この船持つんですか?」
「持つ訳なかろう。壊れる前に減速はせねばならん」
 俺は思わず天を仰いだ。次から次へと起こる命がけの綱渡りに頭が痛くなる。

 操縦パネルの隣には立体レーダーがあり、スカイパトロールの位置が表示されている。俺は横からそれをじっと見つめた……。彼らも燃え尽きルートを追いかけてきているようだ。