自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 ケーブルは色違いの複数の物が束ねられていたから、色が分からないと直せないが、船内は真っ暗だった。
「え!? 明かりになるものないんですか?」
「忘れてしもうた……」
 俺は絶句した。

 太陽は後ろ側で陽の光は射さず、フロントガラスからわずかに海王星の青い照り返しがあるぐらいだったが、それは月夜よりも暗かった。
「……。お主……、明かり……もっとらんか?」
「えっ!? 持ってないですよそんなの!」
「あ――――、しまった。これは見えんぞ……」
 レヴィアは暗闇の中でケーブルをゴソゴソやっているようだが、難しそうだった。
「手探りでできませんか?」
「ケーブルの色が分からないと正しい接続にならんから無理じゃ」
「試しに繋いでみるってのは?」
「繋ぎ間違えたら壊れてしまうんじゃ……」
 俺は絶句した。
「電源さえ戻れば光る物はあるんじゃが……」
 レヴィアがしょんぼりとして言う。
「魔法とかは?」
「海王星で魔法使えるなんてヴィーナ様くらいじゃ」
「そうだ、ヴィーナ様呼びますか?」
「……。なんて説明するんじゃ……? 『シャトル盗んで再起不能になりました』って言うのか? うちの星ごと抹殺されるわい!」
「いやいや、ヴィーナ様は殺したりしませんよ」
「あー、あのな。お主が会ってたのは地球のヴィーナ様。我が言ってるのは金星のヴィーナ様じゃ」
「え? 別人ですか?」
「別じゃないんじゃが、同一人物でもないんじゃ……」
 レヴィアの説明は意味不明だった。そもそも金星とはなんだろうか?

 その時だった。

 コォォ――――。

 何やら音がし始めた。
「マズい……。大気圏突入が始まった……」
 後ろからはスカイパトロール、前には大気圏、まさに絶体絶命である。
「ど、どうするんですか!?」
 心臓がドクドクと速く打ち、冷や汗がにじんでくる。
「なるようにしかならん。明るくなる瞬間を待つしかない」
 レヴィアはそう言うと、覚悟を決めたようにケーブルを持って時を待った。
 確かに大気圏突入時には火の玉のようになる訳だから、その時になれば船内は明るくなるだろうが……それでは手遅れなのではないだろうか? だが、もはやこうなっては他に打つ手などなかった。
 徐々に大気との摩擦音が強くなっていく。
 重苦しい沈黙の時間が続いた――――。

      ◇