自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 無重力だから身体を固定する方法がない。回り始めると止まらないし、ぶつかると跳ね返ってまたぶつかってしまう。

「お主、下手くそじゃな。キャハッ!」
 レヴィアはすでに車輪の無い三輪車みたいな椅子に座っており、こちらを見て笑う。
「無重力なんて初めてなんですよぉ! あわわ!」
 そう言ってクルクル回りながらまた壁にぶつかる俺。
「仕方ないのう……。ほれ、手を出せ」
 そう言って俺はレヴィアに救われ、椅子を渡された。
「助かりました……」
「じゃぁ行くぞ!」
 レヴィアは椅子のハンドルから画面を浮かび上がらせ、何やら操作をする。
 すると、二人の椅子は通路の方へゆっくりと動き始めた。
 空港の通路みたいなまっすぐな道を、スーッと移動していく俺たち。
「うわぁ、広いですね!」
「ここはサーバー群の保守メンテの前線基地じゃからな。多くの物資が届くんじゃ」
「サーバーに物資……ですか?」
「規模がけた違いじゃからな、まぁ、見たらわかる」
 ドヤ顔のレヴィア。

 すると向こう側から同じく椅子に乗った人が二人やってくる。
「ご安全に!」
 レヴィアが声をかける。
「ご安全に!」「ご安全に!」
 彼らも返してくる。俺も真似して、
「ご安全に!」
 そう言って、相手の一人を見て驚いた。
 猫だ! 顔が猫で猫耳が生えている! 俺は思わず見つめてしまった。
 猫の人はウインクをパチッとしながらすれ違っていった。
「お主、失礼じゃぞ」
 レヴィアにたしなめられる。
「あ、そ、そうですね……。猫でしたよ、猫!」
 俺が興奮を隠さずに言うと、
「お主、ケモナーか? 我も獣なんじゃぞ」
 そう言ってウインクしてくるレヴィア。
「あー、ドラゴンはモフモフできないじゃないですか」
 するとレヴィアは不機嫌になってバチンと俺の背中を叩く。
「おわ――――!」
 思わず横転しそうになってしばらく振り子のように揺れた。
「お主はドラゴンの良さが分かっとらん! 一度たっぷりと抱きしめてやらんとな!」
 そう言って両手で爪を立てる仕草をし、可愛い口から牙をのぞかせた。
「お、お手柔らかにお願いします……」
 俺は言い方を間違えたとひどく反省した。
 
 それにしても猫の人がいる世界……、とても不思議だ。実は俺も頼んでおけば猫の人になれたのかもしれない。次に機会があったらぜひ猫をやってみたい。