自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 戦乙女(ヴァルキュリ)の剣といえどもアーティファクトは両断できなかったようだ。そして、俺のレベル六万の防御力、これが破滅的な被害を防いでくれたようだ。
 まさに九死に一生を得た俺はふぅっと大きく息をつき、自らの異常な幸運に感謝をした。

        ◇

 やがて皆既日食は終わり、また、明るさが戻ってきた。
 俺は気合を入れなおすと、全力で諏訪湖に向けて飛んだ。
 超音速で派手に衝撃波を振りまきながら飛ぶ俺を見つけ、戦乙女(ヴァルキュリ)が追いかけてくる。
「レヴィア様! 連れてきましたよ!」
『ご苦労じゃった、こっちもスタンバイOKじゃ!』
 諏訪湖上空でちょうど戦乙女(ヴァルキュリ)が俺の目の前に出たので急反転、その直後だった。諏訪湖の底で巨大な魔法陣が(まばゆ)い金色の光を放った。そして、そのまま魔法陣の上空全てを漆黒の闇に落とす。戦乙女(ヴァルキュリ)もあっという間に闇にのみ込まれた。
 いきなり立ち上がる真っ黒な円柱。それはこの世の物とは思えない禍々しさを放っており、俺は思わず息をのんだ。

 やがて、円柱はぼうっという重低音を残し、消えていく。諏訪湖の水も戦乙女(ヴァルキュリ)も跡形もなく消え去ったのだった。
 これが……、神々の戦争……。
 俺はその圧倒的で理不尽な力に身震いがした。

『イッチョあがりじゃぁ!』
 レヴィアのうれしそうな声が響く。
『あなた、お疲れ様! 良かったわ!』
 ドロシーも喜んでいる。
 ひとまず、難敵は下した。俺は大きく息をついた。

「いやぁ、ドロシーのおかげだよ、グッジョブ!」
 俺はドロシーをねぎらった。彼女がいなかったらダメだったかもしれない。
 夫婦で力を合わせる、それはとても素敵な事だなと思った。

       ◇

『おーい!』
 諏訪湖(はん)で手を振るレヴィアを見つけ、隣に着地した。

「お主、よくやった!」
 満面の笑みでレヴィアは両手を上げる。
「いやー、死にかけましたよー!」
 俺たちはハイタッチでお互いの健闘をたたえる。
「イエーイ!」「イェーイ!」
 金髪おかっぱの少女は屈託のない笑顔を浮かべ、俺も達成感に包まれた。

「レヴィア様の技、驚かされました。何ですかこれ?」