自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 いきなりドロシーが叫んだ。
 俺は何だか良く分からず加速したが、次の瞬間、戦乙女(ヴァルキュリ)の真っ赤に光り輝く巨大な剣が俺をかすっていった。
「うぉぁ! ヤバッ!」
 さっきまで遠くにいたはずなのに、気が付くと間合いに入ってる、まさに無理ゲー。こんなのどうしろというのか?
 しかし、泣き言いってる暇もない。俺は試しにエアスラッシュを戦乙女(ヴァルキュリ)に向けて放ってみる。今までより桁違いに強力な風の刃がものすごい速度で飛ぶ。しかし、次の瞬間戦乙女(ヴァルキュリ)は後ろにいて剣を振りかざしていた。
『逃げてぇ!』
「ひぃっ!」
 またもギリギリでかわす俺。

 こうやって何度かかわしているうちにコツがわかってきた。直線的に飛んではダメだ。予測できないようにジグザグに飛び続ける事、これでかく乱し続ければなんとか諏訪湖まで行けるかもしれない。
 俺はわずかな希望にすがり、命がけのジグザグ飛行を続けた。

『上に来るわ!』
 ドロシーが叫んだ。
「え?」
 俺は半信半疑で上にエアスラッシュを放った。すると、戦乙女(ヴァルキュリ)がちょうどそこに現れていきなり被弾し、きりもみしながら落ちて行く。
「なんでわかったの!?」
『下への攻撃態勢になって跳ぼうとしてたのよ』
「すごい! ドロシー最高!」
 俺はドロシーの観察力に感謝するとともに、少しだけ糸口がつかめた気がした。

 戦乙女(ヴァルキュリ)は落ちながらも態勢を整え、また、俺を追いかけ始めた。物理攻撃無効とは言え、攻撃を食らったらしばらく安定飛行ができなくなるくらいのダメージは入るようだ。
『くるわよ――――、右!』
「ほいきた!」
 俺は右にファイヤーボールを乱れ打ちした。
 出てくるなりファイヤーボールの嵐を食らって吹き飛ばされる戦乙女(ヴァルキュリ)
『やったあ!』
 ドロシーの喜ぶ声が響く。
「ドロシー、才能あるかも」
 俺が褒めると、
『えへへ……』
 と、照れていた。
 これで諏訪湖にずいぶんと近づけた。いけるかもしれない。

 が、その時だった。急に辺りが真っ暗になった。
「ええっ!」
 驚いて空を見上げると、太陽が月に隠されている。皆既日食だ。いきなりの夜空に浮かぶ壮大な光のリング、俺はその恐ろしいまでの美しさに身震いがした。