自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

「あの娘だって学び、考え、成長する人間じゃ。パートナーとして信じてやれ。お主が信頼すればあの娘も安心して力を出せるじゃろう」
 俺はハッとした。確かに俺はドロシーを『守るべきか弱い存在』だとばかり思っていた。しかしそんなペットと主人みたいな関係は、夫婦とは呼べないのではないだろうか? ドロシーが俺より優れている所だってたくさんある。お互いが良さを出し合い、助け合うこと。それがチャペルで誓った結婚という物だったのだ。

「分かりました。二人でうまくやってみます!」
 俺は晴れ晴れとした顔でレヴィアに答えた。
「よし! じゃ、ユータ、行け! この先の湖じゃぞ、日本では、えーと……諏訪湖(すわこ)……じゃったかな? 台形の形の湖じゃ」
「諏訪湖!? じゃ、ここは長野なんですね?」
「長野だか長崎だか知らんが、諏訪湖じゃ、分かったな?」
 そう言ってレヴィアは消えた。

「あー、ドロシー、聞こえる?」
『聞こえるわよ……でも、どうしよう……』
 不安げなドロシー。
「大丈夫。気づいたことを、ただ教えてくれるだけでいいからさ」
『うん……』
「ドロシーは目がいい。俺よりいい。自信もって!」
『……。本当?』
「ドロシーはお姉さんだろ? 俺にいい所見せてよ」
『……。分かった!』
 どうやら覚悟を決めてくれたようだ。
「では出撃するよ」
 俺はそう言って、地上に上がった。









4-11. 禍々しき光のリング

 辺りは見渡す限り焦土と化しており、あの鬱蒼(うっそう)とした森の面影は全く残っていない。倒れた木々からはまだブスブスと煙が立ち上っている。ヌチ・ギの屋敷も建物自体は無傷だが美しかった庭園は真っ黒こげになっていた。
 俺はそのあまりに凄惨な事態に、思わず目をつぶって首を振った。ヌチ・ギはこの調子ですべての街を焼くつもりだ。何としても止めないとならない。
 見ると、遠くの方で戦乙女(ヴァルキュリ)がレヴィアを探している。囚われ操られる美しき乙女。これからあの娘と相まみえるのかと思うとひどく気が滅入る。しかし逃げるわけにもいかない。
 俺は大きく息をつくと飛行魔法で飛び上がった。レベル六万の魔力はとてつもなくパワフルで、ちょっと加速しただけで簡単に音速を超えてしまう。俺はおっかなビックリ飛びながら飛び方に慣れようとした。

『あなた、逃げてぇ!』