俺は今すぐ飛び出していきたい気持ちを、歯を食い縛りながら必死に耐える。
「ヒッヒッヒ……、その反抗的な態度……、そそるねぇ。さぁ、どこまでもつかな?」
ヌチ・ギは小さな注射器を取り出した。
「な、何よそれ……」
青ざめるドロシー。
「最強のセックスドラッグだよ。欲しくて欲しくて狂いそうになる……、素敵な薬さ……」
そう言いながら、注射器を上に向け、軽く薬液を飛ばした。
「ダ、ダメ……、止めて……」
おびえて震えるドロシー。
最悪な事態に俺は気が遠くなる。大切な人が薬で犯られてしまう。でも、彼女の救出を考えたら今動くわけにはいかない。見つかったら終わりなのだ。絶望が俺の頭をぐちゃぐちゃに蝕んでいく。
4-8. 尊い愛の戦士
その時だった、アバドンが耳打ちする。
「私がヌチ・ギを何とかします。その間に姐さんをお願いします」
そう言って壁の切り口に手をかけた。
「いや、ちょっと待て! 死ぬぞ!」
俺は制止する。ヌチ・ギに攻撃したって全く効かないはず。拘束できても数十秒が限界に違いない。そしてきっと殺されるだろう。
しかし、アバドンは覚悟を決めた目で、
「私にとっても姐さんは大切な人なんです。頼みましたよ」
そう言い残して切れ目を抜けて行く。命をなげうつ献身的な決断に俺はアバドンが神々しく見えた。悪を愛する魔人……とんでもない。俺なんかよりずっと尊い愛の戦士じゃないか……。
俺は思わず涙をこぼしそうになるのをこらえ、急いでアバドンに続いた。アバドンの捨て身の決意を無駄にしてはならない。
アバドンは目にも止まらぬ速さでヌチ・ギにタックルを食らわせ、部屋の奥まで吹き飛ばした。さすがの管理者も不意打ちを食らってはすぐに対応できないだろう。
俺はドロシーに駆け寄り、
「今助ける。静かにしてて!」
そう言いながら小刀を取り出し、ドロシーの手を縛っている革製の拘束具を切り落とす。そして、落ちてくる身体を優しく支えた。
「あなたぁ……」
抱き着いて泣き出すドロシー。愛しい温かさが戻ってきた。
しかし、時間がない。
部屋の奥から激しい衝撃音が間断なく上がっている。アバドンが奮闘しているのだろうが、もうすぐ形勢逆転してしまうだろう。
俺はドロシーの手を引いてドアを抜け、通路を走った。
「ヒッヒッヒ……、その反抗的な態度……、そそるねぇ。さぁ、どこまでもつかな?」
ヌチ・ギは小さな注射器を取り出した。
「な、何よそれ……」
青ざめるドロシー。
「最強のセックスドラッグだよ。欲しくて欲しくて狂いそうになる……、素敵な薬さ……」
そう言いながら、注射器を上に向け、軽く薬液を飛ばした。
「ダ、ダメ……、止めて……」
おびえて震えるドロシー。
最悪な事態に俺は気が遠くなる。大切な人が薬で犯られてしまう。でも、彼女の救出を考えたら今動くわけにはいかない。見つかったら終わりなのだ。絶望が俺の頭をぐちゃぐちゃに蝕んでいく。
4-8. 尊い愛の戦士
その時だった、アバドンが耳打ちする。
「私がヌチ・ギを何とかします。その間に姐さんをお願いします」
そう言って壁の切り口に手をかけた。
「いや、ちょっと待て! 死ぬぞ!」
俺は制止する。ヌチ・ギに攻撃したって全く効かないはず。拘束できても数十秒が限界に違いない。そしてきっと殺されるだろう。
しかし、アバドンは覚悟を決めた目で、
「私にとっても姐さんは大切な人なんです。頼みましたよ」
そう言い残して切れ目を抜けて行く。命をなげうつ献身的な決断に俺はアバドンが神々しく見えた。悪を愛する魔人……とんでもない。俺なんかよりずっと尊い愛の戦士じゃないか……。
俺は思わず涙をこぼしそうになるのをこらえ、急いでアバドンに続いた。アバドンの捨て身の決意を無駄にしてはならない。
アバドンは目にも止まらぬ速さでヌチ・ギにタックルを食らわせ、部屋の奥まで吹き飛ばした。さすがの管理者も不意打ちを食らってはすぐに対応できないだろう。
俺はドロシーに駆け寄り、
「今助ける。静かにしてて!」
そう言いながら小刀を取り出し、ドロシーの手を縛っている革製の拘束具を切り落とす。そして、落ちてくる身体を優しく支えた。
「あなたぁ……」
抱き着いて泣き出すドロシー。愛しい温かさが戻ってきた。
しかし、時間がない。
部屋の奥から激しい衝撃音が間断なく上がっている。アバドンが奮闘しているのだろうが、もうすぐ形勢逆転してしまうだろう。
俺はドロシーの手を引いてドアを抜け、通路を走った。



