広場ではすでに多くの人がシートを敷いて、倉庫で眠っていたお宝や、ハンドメイドの雑貨などを所狭しと並べていた。
 俺の目当ては武器、それも特殊効果がかかったレアものの武器である。鑑定スキルが一番役に立つシーンであるともいえる。

 端から順繰りに武器を鑑定しながら歩いて行く……

グレートソード レア度:★
大剣 攻撃力:+10

スピア レア度:★
槍 攻撃力:+8

バトルアックス レア度:★
斧 攻撃力:+12

ショートボウ レア度:★
短弓 攻撃力:+6

 どれもこれも★1だ。小一時間ほど回ったが成果はゼロ。さすがに鑑定を使い過ぎて目が回ってきた。フリマなんだから仕方ないとは思うが、なんかこうもっとワクワクさせて欲しいのに……。
 ★1の武器に氷結石(アイシクルジェム)を仕込んだら、使う人は損してしまう。損させることは絶対ダメだ。どうしても、レア武器で『強くなるけど経験値が減る』といったトレードオフの形にしておきたい。
 しかし……、レア武器なんて俺はまだ見たことがなかった。本当にあるのだろうか?

 俺は気の良さそうなおばちゃんから、手作りのクッキーとお茶を買うと、噴水の石垣に腰掛けて休んだ。
 見上げればどこまでも澄みとおった青い空、あちこちから聞こえてくるにぎやかな商談の声……。クッキーをかじりながら俺は、充実してる転生後の暮らしに思わずニッコリとしてしまった。暗い部屋でゲームばかりしていた、あの張りのない暮らしに比べたら、ここは天国と言えるかもしれない。
 俺は大きく息を吸い、ぽっかりと浮かぶ白い雲を見ながら、幸せだなぁと思った。







1-7. 紅蓮虎吼剣

「あー、すまんが、ちょっとどいてくれ」
 人の良さそうな白いひげを蓄えたおじいさんが、山のように荷物を背負いながら、人だかりで歓談している人たちに声をかけた。どうやら、遅れてやってきて、これから設営らしい。
 背負ってる荷物からは剣の(つば)などが飛び出しているから武具を売るつもりなのだろう。
 俺はクッキーをかじりながら期待もせずに鑑定をかけて行った……。


ワンド レア度:★
木製の杖 攻撃力:+8

スピア レア度:★
大剣 攻撃力:+9

紅蓮虎吼(ぐれんこほう)剣 レア度:★★★★
大剣 強さ:+5、攻撃力:+8/40、バイタリティ:+5、防御力:+5