自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 アバドンは諦観(ていかん)した笑顔を見せた。

 ただ、単に連れ出すだけならすぐに見つかって連れ戻されてしまう。相手は管理者なのだ。どこに隠れたって必ず見つかってしまうだろう。これを回避するにはもう一人の管理者、レヴィアに頼る以外ない。彼女にかくまってもらうこと、これも必須条件だ。
 俺は早速レヴィアを呼んだ。

「レヴィア様、レヴィア様~!」
 しばらく待つと返事が来た。
『なんじゃ、朝っぱらから……。我は朝が弱いのじゃ!』
「お休みのところ申し訳ありません。緊急事態なのです」
『なんじゃ? 何があったんじゃ?』
「ドロシーがヌチ・ギに(さら)われました」
 俺は淡々と言う。
『んん――――? なんじゃと?』
「俺も無力化されてしまいました」
 絶句するレヴィア……。
 俺は神妙な面持ちでレヴィアの返事を待った。
 部屋の静けさのせいか、やけに時間が長く感じる……。

 ためらいがちな声でレヴィアは言う。
『それは……、んー……、申し訳ないが、どうもならん』
 管理者同士は相互不可侵。ヌチ・ギがやる事にレヴィアは干渉できないのだ。だがそれは想定内。
「わかってます。ドロシーの救出は我々でやります。ただ、救出した後、かくまって欲しいんです」
『いやいやいや、そんなのバレたら、我とヌチ・ギは戦争になるぞ! この世界火の海じゃぞ!』
 管理者権限持っている者同士の戦争……それは確かに想像を絶する凄惨な事態になりそうだ。最悪この星が壊れかねない。しかし、引くわけにはいかない。
「そもそもドロシーはレヴィア様の知人じゃないですか、相互不可侵と言うなら非はレヴィア様の知人を(さら)ったヌチ・ギ側にありますよね?」
『うーん、まぁそうじゃが……』
「バレなきゃいい話ですし、バレても筋は我々側にあります!」
 俺は渾身(こんしん)の説得をする。
『むぅ……。それはそうなんじゃが……』
 あと一歩である。
「かくまってくれたら、なんでも言うこと聞きますから!」
 もう、大盤振る舞いである。
 するとレヴィアは、
『なんでも? 昨晩彼女にやってた、あのすごいこともか? キャハッ!』
 と、うれしそうに笑った。
「レ、レヴィア様! のぞいたんですか!?」
 真っ赤になってしまう俺。