そう怒って、俺の手をつかんだ。そして手袋をつけて、慎重に丁寧に氷結石を取り出し、布でキュッキュと拭いた。すると、氷結石は濃い青色で鮮やかに輝きを放つ。
「うわぁ~!」
俺は深い色合いのその碧い輝きに魅せられた。
どうやら石の表面には霜が付くので、そのままだと鈍い水色にしか見えないが、拭くと本来の輝きがよみがえるらしい。本当はこんなに青く明るく輝くものだったのだ。
俺が興味津々で見ていると、おばあさんはニコッと笑って小さな箱に入れた。そして、
「はい、どうぞ」
と、にこやかに俺に差し出す。
「ありがとう!」
俺は、満面の笑みで小箱をポケットに押し込み、お金を払った。
◇
俺の仮説はこうである。
ゴブリンを倒したのは俺の血がついた槍、つまり、俺の血がついた武器で魔物を倒せば、俺がどこで何してても経験値は配分されるのだ。ただ、血が乾いてカピカピになってもこの効果があるかといえば、ないだろう。そんな効果があったらどんな武器にだって血痕は微量についている訳だからシステム的に破綻してしまうはずだ。だから、まだ生きた細胞が残っている血液が付いていることが条件になるだろう。しかし、血液なんてすぐに乾いてしまう。そこで氷結石の出番なのだ。この石を砕いてビーズみたいにして、中にごく微量、俺の血を入れて凍らせる。そしてそれを武器の中に仕込むのだ。これを冒険者のみんなに使ってもらえば俺は寝てるだけで経験値は爆上がり、世界最強の力を得られるに違いない。
もちろん、それだけだと他人の経験値を奪うだけの泥棒なので、良くない。やはり喜ばれることをやりたい。と、なると、特殊なレア武器を提供して、すごく強くなる代わりに経験値を分けてもらうという形がいいだろう。
俺はウキウキしながら孤児院に戻り、みんなに見つからないようにそっと倉庫のすみに作業場を確保すると、氷結石の加工作業に入った。
◇
週末に、街の広場で『蚤の市』が開かれた。いわゆるフリーマーケット、フリマである。街の人や、近隣の街の商人がこぞって自慢の品を並べ、売るのである。俺は今まで貯めたお金をバックに秘かに忍ばせて、朝一番に広場へと出かけた。
「うわぁ~!」
俺は深い色合いのその碧い輝きに魅せられた。
どうやら石の表面には霜が付くので、そのままだと鈍い水色にしか見えないが、拭くと本来の輝きがよみがえるらしい。本当はこんなに青く明るく輝くものだったのだ。
俺が興味津々で見ていると、おばあさんはニコッと笑って小さな箱に入れた。そして、
「はい、どうぞ」
と、にこやかに俺に差し出す。
「ありがとう!」
俺は、満面の笑みで小箱をポケットに押し込み、お金を払った。
◇
俺の仮説はこうである。
ゴブリンを倒したのは俺の血がついた槍、つまり、俺の血がついた武器で魔物を倒せば、俺がどこで何してても経験値は配分されるのだ。ただ、血が乾いてカピカピになってもこの効果があるかといえば、ないだろう。そんな効果があったらどんな武器にだって血痕は微量についている訳だからシステム的に破綻してしまうはずだ。だから、まだ生きた細胞が残っている血液が付いていることが条件になるだろう。しかし、血液なんてすぐに乾いてしまう。そこで氷結石の出番なのだ。この石を砕いてビーズみたいにして、中にごく微量、俺の血を入れて凍らせる。そしてそれを武器の中に仕込むのだ。これを冒険者のみんなに使ってもらえば俺は寝てるだけで経験値は爆上がり、世界最強の力を得られるに違いない。
もちろん、それだけだと他人の経験値を奪うだけの泥棒なので、良くない。やはり喜ばれることをやりたい。と、なると、特殊なレア武器を提供して、すごく強くなる代わりに経験値を分けてもらうという形がいいだろう。
俺はウキウキしながら孤児院に戻り、みんなに見つからないようにそっと倉庫のすみに作業場を確保すると、氷結石の加工作業に入った。
◇
週末に、街の広場で『蚤の市』が開かれた。いわゆるフリーマーケット、フリマである。街の人や、近隣の街の商人がこぞって自慢の品を並べ、売るのである。俺は今まで貯めたお金をバックに秘かに忍ばせて、朝一番に広場へと出かけた。