自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 俺もドロシーも驚いて院長を見つめる。
「もうすでに準備は終わってるわ。これを着て!」
 そう言って院長はソファーの脇の大きな箱から白い服を出し、
「ジャーン!」
 そう言って広げると、なんとそれは純白のウェディングドレスだった。レースにはふんだんに花の刺繍が施され、腰の所が優美にふくらむベルラインの立派なつくりに、俺もドロシーもビックリ。
「ユータは白のタキシードよ、早く着替えて!」
 うれしそうに指示する院長。
 俺とドロシーは微笑みながら見つめ合い、『院長にはかなわないな』と目で伝えあった。

         ◇

 俺たちは急いで身支度を整える。
「あー、もうこんなに泣きはらしちゃって!」
 院長は、少しむくんでしまったドロシーのまぶたを一生懸命化粧で整えていく。
 俺はタキシードに着替え、アバドンを呼んだり、カバンにドロシーの身支度を入れたり、準備を進める。

 院長はドロシーの銀髪を編み込み、最後に頭の後ろに白いバラをいくつか()して留め、うれしそうに言った。
「はい、完成よ!」
 ドロシーは嬉しそうに俺を見る。俺はドロシーのあまりの美しさに言葉を失い、ポロリと涙をこぼしてしまう。
 それを見たドロシーもウルウルと涙ぐんでしまう。
「新郎が泣いてどうすんのよ! ドロシーも化粧が流れちゃうからダメ! はい! 行くわよ!」
 院長はそう言って俺たちを先導し、チャペルへと移動する。

 孤児院は組織的には教会の下部組織だ。なので、チャペルも壁をへだてて孤児院の隣にある。
 小さな通用門をくぐると花壇の向こうに三角屋根の可愛いチャペルが建っていた。ずっと孤児院で暮らしていたのにチャペルに来たのは初めてである。
 俺はドロシーの手を取り、色とりどりの花が咲き乱れる花壇を抜け、入口の大きなガラス戸を開けた。
「うわぁ! すごーい!」
 ドロシーが思わず感嘆の声を漏らす。
 正面には神話をモチーフとした色鮮やかなステンドグラスが並び、温かい日差しが差し込む室内は神聖な空気に満ちていた。中に入ると、たくさんの生け花からのぼる華やかな花の香りに包まれ、思わず深呼吸してしまう。

 俺たちは見つめ合い、人生最高の瞬間がやってきたことを喜びあった。









3-20. 高らかに鳴る鐘

 ギギーっとドアが開いた。アバドンだ。