自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 俺は目をつぶり、ドロシーの柔らかな体温をじっと感じていた。

「ユータ……、連れて行ってあげて」
 院長が温かいまなざしで俺を見る。
「いや、でも、新居にはベッド一つしかないし、女の子泊められるような環境じゃないですよ」
「結婚すればいいわ」
 院長は嬉しそうに言う。
「け、結婚!? 俺まだ16歳ですよ!?」
「商売上手で最強の男はもう子供なんかじゃないわ。それにあなた……、本当は16歳なんかじゃないでしょ?」
 院長は俺の転生を感づいているようだ。俺は苦笑いをすると、
「それはドロシーの意見も聞かないと……」
「バカねっ! まず、あなたがどうしたいか言いなさい! 結婚したいの? したくないの?」
 いきなり人生の一大決断を迫られる俺……。
 俺は目をつぶり、考える。
 ドロシーと共に歩む人生、それは俺にとって夢のような人生だ。危険を分かっても『ついて行きたい』と言ってくれるドロシー、正直俺には過ぎた女性だ。そのドロシーの覚悟に俺はどう応えるか……。

 俺はドロシーをそっと引き離し、涙で溢れている綺麗なブラウンの瞳を見つめた。
 ヒックヒックと小刻みに揺れるドロシー。
 愛おしい……。
 こんなにも愛おしい人が俺を頼ってくれている。もう悩むことなど無いのだ。レヴィアは『大切なことは心で決めよ』と言っていた。その通りだった。

「俺はドロシーを命がけで守る。必死に守る。でも……、それでも守り切れないことがあるかもしれない……」
 俺は丁寧に誠実に言った。
「覚悟はできてる、十分だわ」
 ドロシーは固い決意を込めた声で答える。
「分かった」
 そう言うと俺は大きく息をつき、ドロシーをまっすぐに見て、
「ドロシー、心から愛しています……。僕には……、あなたしかいません。結婚してください」
 と、言った。言いながら自然と涙が湧いてきてしまう。
 ドロシーは目にいっぱい涙を浮かべ、俺に飛びついてきた。そして、
「お願い……します」
 と、震える声で答えた。
 二人とも涙をポロポロとこぼし、お互いをきつく抱きしめた。

 院長ももらい涙をハンカチで拭いながら、嬉しそうにうなずいていた。

         ◇

 院長が嬉しそうに大声で言った。
「そうと決まったら結婚式よ! 急いで裏のチャペルへ移動するわよ!」
「えっ!?」「えっ?」