ドアが乱暴に開けられ、案内の男性が叫ぶ。
「ユータさん、出番です!」
俺は一つ大きく息をすると、フンッと言って立ち上がった。
いよいよ、俺は引き返せない橋を渡るのだ。ありがとう、アンジューのみなさん、ありがとう、俺のお客さんたち、そして、ありがとう……ドロシー……。
ゲートに行くと、リリアンが待っていた。
「王女殿下、ご機嫌麗しゅうございます」
俺はひざまずいてうやうやしく挨拶する。
「ユータ、任せたわよ!」
リリアンは上機嫌で俺の肩をポンポンと叩いた。
「お任せください。お約束通りぶっ倒してきます」
俺はこぶしを見せて力を込めた。
「それから……、勝った後『私との結婚は要らない』とかやめてよ?」
上目づかいでそう言うリリアン。俺が結婚を辞退すると勇者に口実を与えてしまうのが嫌なんだろうと思うが、単に大衆の前で辞退されることにプライドが許さないのかもしれない。
「配慮します」
「ふふっ、良かった……でも、勝った後どうするつもりなの? 今からでも……、騎士にならない?」
リリアンは懇願するような眼で俺を見つめる。
「大丈夫です。俺には俺の人生があります」
俺は苦笑いを浮かべる。
「そう……」
リリアンは少ししょげて俺のシャツのそでをつまんだ。
ウワァ――――!!
大きな歓声が闘技場全体を揺らす様に響き渡る。
見ると、向こうのゲートから勇者が入場してきていた。
勇者は金髪をキラキラとなびかせ、剣を高々と掲げながら舞台に上がり、場内の熱気は最高潮に達した。
「いよいよです。お元気で」
俺はリリアンのクリッとしたアンバー色の瞳を見つめ、言った。
瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「もっと早く……知り合いたかったわ……」
リリアンはうつむいて言った。
『対するは~! えーと、武器の店『星多き空』店主、ユータ……かな?』
司会者がメモを見ながら俺を呼ぶ。
案内の男性は俺の背中をパンパンと叩き、舞台を指さす。
俺はリリアンに深く一礼をし、会場へと入っていく。
リリアンは真っ白なハンカチで涙を拭きながら手を振ってくれた。
石造りのゲートをくぐると、そこはもう巨大なスタンドがぐるりと取り囲む武闘場で、中央には特設の一段高い舞台が設置されていた。スタンドを見回すと、超満員の観客たちは俺を見てどよめいている。
「ユータさん、出番です!」
俺は一つ大きく息をすると、フンッと言って立ち上がった。
いよいよ、俺は引き返せない橋を渡るのだ。ありがとう、アンジューのみなさん、ありがとう、俺のお客さんたち、そして、ありがとう……ドロシー……。
ゲートに行くと、リリアンが待っていた。
「王女殿下、ご機嫌麗しゅうございます」
俺はひざまずいてうやうやしく挨拶する。
「ユータ、任せたわよ!」
リリアンは上機嫌で俺の肩をポンポンと叩いた。
「お任せください。お約束通りぶっ倒してきます」
俺はこぶしを見せて力を込めた。
「それから……、勝った後『私との結婚は要らない』とかやめてよ?」
上目づかいでそう言うリリアン。俺が結婚を辞退すると勇者に口実を与えてしまうのが嫌なんだろうと思うが、単に大衆の前で辞退されることにプライドが許さないのかもしれない。
「配慮します」
「ふふっ、良かった……でも、勝った後どうするつもりなの? 今からでも……、騎士にならない?」
リリアンは懇願するような眼で俺を見つめる。
「大丈夫です。俺には俺の人生があります」
俺は苦笑いを浮かべる。
「そう……」
リリアンは少ししょげて俺のシャツのそでをつまんだ。
ウワァ――――!!
大きな歓声が闘技場全体を揺らす様に響き渡る。
見ると、向こうのゲートから勇者が入場してきていた。
勇者は金髪をキラキラとなびかせ、剣を高々と掲げながら舞台に上がり、場内の熱気は最高潮に達した。
「いよいよです。お元気で」
俺はリリアンのクリッとしたアンバー色の瞳を見つめ、言った。
瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「もっと早く……知り合いたかったわ……」
リリアンはうつむいて言った。
『対するは~! えーと、武器の店『星多き空』店主、ユータ……かな?』
司会者がメモを見ながら俺を呼ぶ。
案内の男性は俺の背中をパンパンと叩き、舞台を指さす。
俺はリリアンに深く一礼をし、会場へと入っていく。
リリアンは真っ白なハンカチで涙を拭きながら手を振ってくれた。
石造りのゲートをくぐると、そこはもう巨大なスタンドがぐるりと取り囲む武闘場で、中央には特設の一段高い舞台が設置されていた。スタンドを見回すと、超満員の観客たちは俺を見てどよめいている。



