俺は自然と思い出されてしまうドロシーの笑顔をふり払い、ウイスキーをキューっと空けた。
◇
翌日、俺は久しぶりに孤児院を訪れる。屋根の瓦を直して降りてくると院長が待っていた。
「ユータ!」
そう言いながら俺をハグしてくる院長。昔は院長の胸の高さまでしかなかった俺も今や俺の方が背が高い。
俺は院長の背中をポンポンと叩きながら、
「お久しぶりです。お元気ですか?」
と、聞いた。
「元気よ~! ユータのおかげで助成も増えてね、悩みの種も解消したのよ」
「それは良かったです」
俺はニッコリと笑った。長らくお世話になってばかりだった俺も、少しは恩返しできたようだ。
「実は今日は相談がありまして……」
「分かってるわ、部屋に来て」
院長は真っ直ぐ俺を見つめると、そう言った。
さすが院長、全てお見通しのようだ。
俺は院長室で、事の経緯と今後の計画について話した。
「ユータの考えはわかったわ。でも、その計画にはドロシーの気持ちが考慮されてないのよね」
「いや、おたずね者と縁があるのは凄い危険なことですよ」
俺は力説する。
「ユータ……、リスクのない人生なんてないのよ。人生はどのリスクを取って心を熱く燃やすかという旅なのよ。ユータの判断だけで決めるのは……どうかしら?」
確かにそうかもしれない。でも、腕だけになってしまったドロシーを見ている俺からしたら、そんな理想論など心に響かない。人は死んだら終わりなのだ。
「いやいや、本当に命が危ないんです。実際ドロシーは一度死にかけているんですから」
「分かるわよ。でも、それをどう評価するかはドロシーの問題じゃないかしら?」
「何言ってるんですか! 次、ドロシーに何かあったら俺、正気じゃいられないですよ!」
俺は半分涙声で叫んだ。
院長は目をつぶり、大きく息をつく……。
窓の外から子供たちの遊ぶ声が響いてくる。
そして、院長はゆっくりとうなずいた。
「分かったわ……。そうしたら、武闘会の後、またここへ寄って。そこでもう一度ユータの気持ちを聞かせて」
院長は優しい目で俺を見る。
「……。分かりました」
俺はそう言って大きく息をした。
3-17. 強すぎた商人
◇
翌日、俺は久しぶりに孤児院を訪れる。屋根の瓦を直して降りてくると院長が待っていた。
「ユータ!」
そう言いながら俺をハグしてくる院長。昔は院長の胸の高さまでしかなかった俺も今や俺の方が背が高い。
俺は院長の背中をポンポンと叩きながら、
「お久しぶりです。お元気ですか?」
と、聞いた。
「元気よ~! ユータのおかげで助成も増えてね、悩みの種も解消したのよ」
「それは良かったです」
俺はニッコリと笑った。長らくお世話になってばかりだった俺も、少しは恩返しできたようだ。
「実は今日は相談がありまして……」
「分かってるわ、部屋に来て」
院長は真っ直ぐ俺を見つめると、そう言った。
さすが院長、全てお見通しのようだ。
俺は院長室で、事の経緯と今後の計画について話した。
「ユータの考えはわかったわ。でも、その計画にはドロシーの気持ちが考慮されてないのよね」
「いや、おたずね者と縁があるのは凄い危険なことですよ」
俺は力説する。
「ユータ……、リスクのない人生なんてないのよ。人生はどのリスクを取って心を熱く燃やすかという旅なのよ。ユータの判断だけで決めるのは……どうかしら?」
確かにそうかもしれない。でも、腕だけになってしまったドロシーを見ている俺からしたら、そんな理想論など心に響かない。人は死んだら終わりなのだ。
「いやいや、本当に命が危ないんです。実際ドロシーは一度死にかけているんですから」
「分かるわよ。でも、それをどう評価するかはドロシーの問題じゃないかしら?」
「何言ってるんですか! 次、ドロシーに何かあったら俺、正気じゃいられないですよ!」
俺は半分涙声で叫んだ。
院長は目をつぶり、大きく息をつく……。
窓の外から子供たちの遊ぶ声が響いてくる。
そして、院長はゆっくりとうなずいた。
「分かったわ……。そうしたら、武闘会の後、またここへ寄って。そこでもう一度ユータの気持ちを聞かせて」
院長は優しい目で俺を見る。
「……。分かりました」
俺はそう言って大きく息をした。
3-17. 強すぎた商人



