自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 なるほど、いいアイディアだ。だが……もうこの店は閉店なのだ。
 俺は意を決して話を切り出した。
「実はね……ドロシー……。このお店、(たた)もうと思っているんだ」
「えっ!?」
 目を真ん丸に見開いて仰天するドロシー。
「俺、武闘会終わったらきっとおたずね者にされちゃうんだ。だからもう店は続けられない」
 俺はそう言って静かにドロシーを見つめた。
「う、うそ……」
 呆然(ぼうぜん)とするドロシー。
 俺は胸が痛み、うつむいた。
 ドロシーは涙を浮かべ、叫ぶ。
「なんで!? なんでユータが追い出されちゃうの!?」
 俺は目をつぶり、大きく息を吐き、言った。
「平民の活躍を王国は許さないんだ。もし、それが嫌なら姫様の騎士になるしかないが……、俺、嫌なんだよね、そういうの……」
 嫌な沈黙が流れる。

「じゃ……、どうする……の?」
「別の街でまた商売を続けようかと、お金なら十分あるし」
「私……、私はどうなるの?」
 引きつった笑顔のドロシー。透き通るようなブラウンの瞳には涙がたまっていく。

「ゴメン……、ドロシーの今後については院長に一緒に相談に行こう」
 ドロシーがバンッとテーブルを叩いた。
「嫌よ! せっかくお店の運営にも慣れてきたところなのよ! 帳簿も付けられるようになったのに! これから……なのに……うっうっうっ……」
 テーブルに泣き崩れるドロシー。
「お金については心配しないで、ちゃんとお給料は払い続けるから……」
「お金の話なんてしてないわ! 私もつれて行ってよ、その新たな街へ」
「いや、ドロシー……。俺のそばにいると危険なんだよ。何があるかわからないんだ。また(さら)われたらどうするんだ?」
 ドロシーがピタッと動かなくなった。
 そして、低い声で言う。
「……。分かった。私が邪魔になったのね? 昨晩、みんなで何か企んだんでしょ?」
「邪魔になんてなる訳ないじゃないか」
「じゃぁ、なんで捨てるのよぉ! 私のこと『一番大切』だったんじゃないの!?」
 もうドロシーは涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「す、捨てるつもりなんかじゃないよ」
「私をクビにしていなくなる、そういうのを『捨てる』って言うのよ!」
 そう叫ぶと、ドロシーはエプロンをいきなり脱いで俺に投げつけると、俺をにらみつけ、
「嘘つき!!」