俺はナイフをしまい、椅子を並べてその上に寝転がるとドロシーとのキスを思い出していた。熱く濃密なキス……思い出すだけでドキドキしてしまう。しかし……、ドロシーのことを考えるなら俺とは距離を取ってもらうしかないのだ。俺は大きく息をついた。そして、やるせない思いの中、徐々に気が遠くなり……、そのまま寝てしまった。
3-15. ウサギのエプロン
翌朝、山のようにある食べ残しやゴミの山を淡々と処理しながら、俺はこの店やドロシーをどうしようか考えていた。武闘会とは言え、貴族階級である勇者を叩きのめせば貴族は黙っていないだろう。何らかの罪状をこじつけてでも俺を罪人扱いするに違いない。であれば逃げるしかない。リリアンが味方に付いてくれたとしても王女一人ではこの構図は変えられまい。事前に彼女の騎士にでもなって貴族階級に上がっていれば別かもしれないが……、そんなのは嫌だ。
であれば、店は閉店。ドロシーは解雇せざるを得ない。
そして今後、ヌチ・ギや王国の追手から逃げ続けなければならない暮らしになることを考えれば、ドロシーとは距離を置かざるを得ない。危険な逃避行に18歳の女の子を連れまわすなんてありえないのだ。どんなに大切だとしても、いや、大切だからこそここは身を引くしかない。
悶々としながら手を動かしていると、ドロシーが起きてきた。
「あ、ド、ドロシー、おはよう!」
昨晩の熱いキスを思い出して、ぎこちなくあいさつする。
「お、おはよう……なんで私、二階で寝てたのかしら……」
ドロシーは伏し目がちに聞いてくる。
「なんだか飲み過ぎたみたいで自分で二階へ行ったんだよ」
「あ、そうなのね……」
どうも記憶がないらしい。キスしたことも覚えていないようだ。であれば、あえて言及しない方がいいかもしれない。
「コーヒーを入れるからそこ座ってて」
俺がそう言うとドロシーは、
「大丈夫、私がやるわ」
と言って、ケトルでお湯を沸かし始める。
俺はまだ食べられそうな料理をいくつか温めなおし、お皿に並べた。
二人は黙々と朝食を食べる。
何か言葉にしようと思うが、何を並べても空虚な言葉になりそうな気がして上手く話せない。
ドロシーが切り出す。
「こ、このテーブルにね、可愛いテーブルクロスかけたら……どうかな?」
3-15. ウサギのエプロン
翌朝、山のようにある食べ残しやゴミの山を淡々と処理しながら、俺はこの店やドロシーをどうしようか考えていた。武闘会とは言え、貴族階級である勇者を叩きのめせば貴族は黙っていないだろう。何らかの罪状をこじつけてでも俺を罪人扱いするに違いない。であれば逃げるしかない。リリアンが味方に付いてくれたとしても王女一人ではこの構図は変えられまい。事前に彼女の騎士にでもなって貴族階級に上がっていれば別かもしれないが……、そんなのは嫌だ。
であれば、店は閉店。ドロシーは解雇せざるを得ない。
そして今後、ヌチ・ギや王国の追手から逃げ続けなければならない暮らしになることを考えれば、ドロシーとは距離を置かざるを得ない。危険な逃避行に18歳の女の子を連れまわすなんてありえないのだ。どんなに大切だとしても、いや、大切だからこそここは身を引くしかない。
悶々としながら手を動かしていると、ドロシーが起きてきた。
「あ、ド、ドロシー、おはよう!」
昨晩の熱いキスを思い出して、ぎこちなくあいさつする。
「お、おはよう……なんで私、二階で寝てたのかしら……」
ドロシーは伏し目がちに聞いてくる。
「なんだか飲み過ぎたみたいで自分で二階へ行ったんだよ」
「あ、そうなのね……」
どうも記憶がないらしい。キスしたことも覚えていないようだ。であれば、あえて言及しない方がいいかもしれない。
「コーヒーを入れるからそこ座ってて」
俺がそう言うとドロシーは、
「大丈夫、私がやるわ」
と言って、ケトルでお湯を沸かし始める。
俺はまだ食べられそうな料理をいくつか温めなおし、お皿に並べた。
二人は黙々と朝食を食べる。
何か言葉にしようと思うが、何を並べても空虚な言葉になりそうな気がして上手く話せない。
ドロシーが切り出す。
「こ、このテーブルにね、可愛いテーブルクロスかけたら……どうかな?」



