自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 と、言いながらリリアンの前の取り皿を取ろうとすると、
 リリアンはピシッとドロシーの手をはたいた。
「私はユータに頼んだの」
 そう言ってドロシーをにらんだ。
 二人の間に見えない火花が散る。
 王位継承順位第二位リリアン=オディル・ブランザに対し、一歩も引かない孤児の少女ドロシー。俺もアバドンもオロオロするばかりだった。

「のどが渇いたわ、シャンパン出して」
 俺を見て言うリリアン。
「いや、庶民のパーティーなので、ドリンクはエールしかないです」
「ふーん、美味しいの?」
「ホップを利かせた苦い麦のお酒ですね。私は大好きですけども……」
「じゃぁ頂戴」
 するとドロシーがすかさず、特大マグカップになみなみとエールを注ぎ、
「王女様どうぞ……」
 と、にこやかに渡す。
 いちいち火花を散らす二人。

「と、とりあえず乾杯しましょう、カンパーイ!」
 俺は引きつった笑顔で音頭を取る。
「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」

 リリアンは一口エールをなめて、
「苦~い!」
 と、言いながら、俺の方を向いて渋い顔をする。
「高貴なお方のお口には合いませんね。残念ですわ」
 ドロシーがさりげなくジャブを打ってくる。
 リリアンがキッとドロシーをにらむ。
「あ、エールはワインと違ってですね、のど越しを楽しむものなんです」
「どういうこと?」
「ゴクッと飲んだ瞬間に鼻に抜けるホップの香りを楽しむので、一度一気に飲んでみては?」
「ふぅん……」
 リリアンは半信半疑でエールを一気にゴクリと飲んだ。
 そして、目を見開いて、
「あ、確かに美味しいかも……。さすがユータ! 頼りになるわぁ」
 そう言って俺にニッコリと笑いかけた。
「それは良かったです。で、今日のご用向きは?」
 俺はドロシーからの視線を痛く感じ、冷や汗を垂らしながら聞いた。
「そうそう、孤児院の助成倍増とリフォーム! 通してあげたわよ!」
「え? 本当ですか!?」
「王女、嘘つかないわよ」
 そう言ってドヤ顔のリリアン。
 俺はスクッと立ち上がると、
「リリアン姫の孤児院支援にカンパーイ!」
「カンパーイ!」「カンパーイ!」「カンパーイ!」
 ドロシーも孤児院の支援は嬉しかったらしく。
「王女様、ありがとうございます」
 と、素直に頭を下げた。