自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 アバドンが盛り上げる。
「ところが、ユータったら『太さが合う指にはめた』って言うのよ!」
 そう言ってふくれるドロシー。
「え――――! 旦那様、それはダメですよ!」
 アバドンはオーバーなリアクションしながら俺を責める。
「いや、だって、俺指輪なんてあげたこと……ないもん……」
 そう言ってうなだれる。持ち上げられたと思ったらすぐにダメ出しされる俺……ひどい。
「あげたことなくても……ねぇ」
 アバドンはドロシーを見る。
「その位常識ですよねぇ」
 二人は見つめ合って俺をイジる。
「はいはい、私が悪うございました」
 そう言ってエールをグッと空けた。

「私、アバドンさんってもっと怖い方かと思ってました」
 酔ってちょっと赤い頬を見せながらドロシーが言う。
「私、ぜーんぜん! 怖くないですよ! ね、旦那様!」
 こっちに振るアバドン。確かに俺と奴隷契約してからこっち、かなりいい奴になっているのは事実だ。
「うん、まぁ、頼れる奴だよ」
「うふふ、これからもよろしくお願いしますねっ!」
 ドロシーは嬉しそうに笑う。
 その笑顔に触発されたか、アバドンはいきなり立ち上がって、
「はい! お任せください!」
 と、嬉しそうに答えると、俺の方を向いて、
「旦那様と姐さんが揉めたら私、姐さんの方につきますけどいいですか?」
 と、ニコニコと聞いてくる。
 俺は目をつぶり……
「まぁ、認めよう」
 と、渋い顔で返した。これで奴隷契約もドロシー関連だけは例外となってしまった。しかし、『ダメ』とも言えんしなぁ……。
 アバドンはニヤッと笑うと、
「旦那様に不満があったら何でも言ってください、私がバーンと解決しちゃいます!」
 そう言ってドロシーにアピールする。
「うふふ、味方が増えたわ」
 と、ドロシーは嬉しそうに微笑んだ。

 と、その時、急にアバドンが真顔になって入り口のドアを見た。
 俺も気配を察知し、眉をひそめながらドロシーに二階への階段を指さし、ドロシーを避難させる。
 俺はアバドンに階段を守らせると裏口から外へ出て屋根へと飛び、上から店の表をのぞいた。
 そこにはフードをかぶった小柄の怪しい人物が、店の内部をうかがっている姿があった。俺は勇者の手先だと思い、背後に飛び降りると同時に腕を取り、素早く背中に回して極めた。
「きゃぁ!」
 驚く不審者。
「何の用だ!?」