自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 アバドンが両手に料理と飲み物満載して上機嫌でやってきた。
「うわー、こりゃ大変だ! ちょっとドロシーも手伝って!」
「う、うん」
 俺はアバドンの手からバスケットやら包みやらを取ってはドロシーに渡す。あっという間にテーブルは料理で埋め尽くされた。
「うわぁ! 凄いわ!」
 ドロシーはキラキラとした目で豪華なテーブルを見る。
 アバドンは
「ドロシーの(あね)さん、初めて挨拶させていただきます、アバドンです。以後お見知りおきを……」
 と、うやうやしく挨拶をする。
 ドロシーは赤くなりながら、
「あ、あの時は……ありがとう。これからもよろしくお願いします」
 そう言ってペコリと頭を下げた。
 俺は大きなマグカップに樽からエールを注いで二人に渡し、
「それでは、ドロシーとアバドン、二人の献身に感謝をこめ、乾杯!」
「カンパーイ!」「カンパーイ!」
 俺はゴクゴクとエールを飲んだ。爽やかなのど越し、鼻に抜けてくるホップの香りが俺を幸せに包む。
「くぅぅ!」
 俺は目をつぶり、今日あったいろんなことを思い出しながら幸せに浸った。
「姐さんは今日はどちら行ってきたんですか?」
 アバドンがドロシーに話題を振る。
「え? 海行って~、クジラ見て~」
 ドロシーは嬉しそうに今日あったことを思い出す。
「クジラって何ですか?」
「あのね、すっごーい大きな海の生き物なの! このお店には入らないくらいのサイズよね、ユータ!」
「そうそう、海の巨大生物」
「へぇ~、そんな物見たこともありませんや」
「それがね、いきなりジャンプして、もうバッシャーンって!」
「うわ、そりゃビックリですね!」
 アバドンは両手を広げながら上手く盛り上げる。

「で、その後、帆船がね、巨大なタコに襲われてて……」
「巨大タコ!?」
 驚くアバドン。
「クラーケンだよ、知らない?」
「あー、噂には聞いたことありますが……、私、海行かないもので……」
「それをユータがね、バシュ!って真っ二つにしたのよ」
「さすが旦那様!」
「いやいや、照れるね……、カンパーイ!」
 俺は照れ隠しをする。
「カンパーイ!」「カンパーイ!」
「で、その後ね……ユータが指輪をくれたんだけど……」
 『ブフッ』っと吹き出す俺。
 ドロシーは右手の薬指の指輪をアバドンに見せる。
「お、薬指じゃないですか!」