自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 洞窟の中は神殿のようになっており、大理石でできた白く広大なホールがあった。周囲の壁には精緻な彫刻が施されており、たくさんの魔法の照明が美しく彩っている。なるほどドラゴンの居城にふさわしい荘厳な(たたず)まいだった。
 これからどんな話になるのだろうか……、俺は胃がキュッと痛くなりながらカヌーを止めた。まだ気を失っているドロシーにそっと俺の上着をかぶせ、トボトボとドラゴンの元へと歩いた。
 ドラゴンは全長30メートルはあろうかと言う巨体で、全身は厳ついウロコで(おお)われ、まさに生物の頂点であった。そして高い所で真紅の目を光らせ、俺をにらんでいる。

「素晴らしいお住まいですね!」
 俺は何とかヨイショから切り出す。
「ほほう、おぬしにこの良さが分かるか」
「周りの彫刻が実に見事です」
「これは過去にあった出来事を記録した物じゃ。およそ四千年前から記録されておる」
「え? 四千年前からこちらにお住まいですか?」
「ま、そうなるかのう」
 俺は大きく深呼吸をすると、
「この度はご無礼をいたしまして、申し訳ありませんでした」
 と言って、深々と頭を下げた。
「お前、いきなり轟音上げながらぶっ飛んでいくとは、失礼じゃろ?」
「まさかドラゴン様のお住まいがあるなど、知らなかったものですから……」
「知らなければ許されるわけでもなかろう!」
 ドラゴンの罵声が神殿中に響き渡り、ビリビリと体が振動する。マズい、極めてマズい……。
 返す言葉もなく悩んでいると……、
「……んん? お主、ヴィーナ様の縁者か?」
 そう言いながら首を下げてきて、俺のすぐそばで大きな目をギョロリと動かした。
 冷や汗が流れてくる。
「あ、ヴィーナ様にこちらの世界へと転生させてもらいました」
「ほう、そうかそうか……、まぁヴィーナ様の縁者となれば……無碍(むげ)にもできんか……」
 そう言って、また首を高い所に戻すドラゴン。
「ヴィーナ様は確か日本で大学生をやられていましたよね?」
「ヴィーナ様はいろいろやられるお方でなぁ、確かに大学生をやっていたのう。その時代のご学友……という訳じゃな……」
「はい、一緒に楽しく過ごさせてもらいました」
 俺は引きつった笑いを浮かべる。
「ほう、うらやましいのう……。(われ)も大学生とやらになるかのう……」
「え!?」