自宅で寝てても経験値ゲット!~転生商人が最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に

 仮想現実空間であるなら誰かが何らかの目的で作ったはずだが……、なぜこれほどまでに精緻で壮大な世界を作ったのか全く見当もつかない。地球を作り、この世界を作り、地球では科学文明が発達し、この世界では魔法が発達した。一体何が目的なのだろう?
 そもそも、こんな世界を動かせるコンピューターなんて作れないんだから、仮想現実空間だということ自体間違っているのかもしれないが……、ではプランクトンが個体識別され管理されていたのは何だったのか?
 俺が眉間(みけん)にしわを寄せながら考えていると、ドロシーが俺の顔を覗き込んで言った。
「どうしたの? 何かあった?」
 俺はドロシーの肩を抱き、背中に顔をうずめると、
「何でもない、ちょっと疲れちゃった」
 そう言って、ドロシーの体温を感じた。
 ドロシーは肩に置いた俺の手に手を重ねると、
「ユータばかりゴメンね、少し休んだ方がいいわ……」
 と、言った。

      ◇

 よく考えたら地球で生きていた俺の魂が、この世界でも普通に身体を得て暮らせているということは、地球もこの世界も同質だという証拠なんだよな……。では、魂とは何なのだろう……。
 分からないことだらけだ。
「この世界って何なのだろう?」
 俺は独り言のようにつぶやいた。
「あら、そんなことで悩んでるの? ここはコンピューターによって作られた仮想現実空間よ」
 ドロシーがうれしそうに答え、俺は仰天する。
「え!? ドロシーなんでそんなこと知ってるの?」
「なんだっていいじゃない。私が真実を知ってたら都合でも悪いの?」
 いたずらっ子のように笑うドロシー。
「いや、そんなことないけど……、でも、コンピューターではこんなに広大な世界はシミュレーションしきれないよ」
「それは厳密に全てをシミュレーションしようとなんてするからよ」
「え……? どういうこと?」
「ユータが超高精細なMMORPGを作るとして、分子のシミュレーションなんてするかしら?」
「え? そんなのする訳ないじゃん。見てくれが整っていればいいだけなんだから、見える範囲の物だけを適当に合成(レンダリング)して……、て、ここもそうなの!?」
「ははは、分かってるじゃない」
 ドロシーはニヤリと笑う。