「せーのっ!」
そう言って二人で引っ張ると、ガコッ! っと音がして畳サイズのブレードが抜けた。
ブレードを床に置いて二人で観察してみる。入り口に置いてあったものと同じ構造をしていて、ガラスの微細な構造がキラキラと照明を反射し、美しかった。
しかし……、特に怪しい物は見つけられない。
「もしかしたら1ミリくらいの小さなものかもしれないわ。そうだったらちょっと見ただけじゃわからないかも……」
ミネルバは眉間にしわを寄せて言う。ヒゲがしょんぼりと下がってきてしまう。
「この間にもマリアンは魔物の侵攻を進めてるんですよね?」
「そうでしょうね。ぐずぐずしていられないわ。手分けして候補を一つずつしらみつぶしで行きましょう」
「分かりました。頑張ります!」
「じゃあ、ステータス画面開いて」
「え!? 海王星でも開けるんですか?」
「この肉体に実装されているのよ。ここに直接映像が行くわ」
そう言って、ミネルバは頭を指さした。
「分かりました。『ステータス!』」
すると、確かに青白いウィンドウが空中に開いた。そこにはスマホのようなアイコンも並んでいる。
「今、メッセージ送ったから、そこのリストの上からチェックお願い」
ピコピコと点滅するアイコンをタップすると、リストがズラッと並んだ。その量にちょっと気が遠くなったが、多くの人命がかかっているのだ。頑張るしかない。
「了解です!」
俺はそう言って走り出した。
◇
カンカンカンカン!
金属の網目でできたグレーチングの上を俺は淡々と走った。どこまでも並ぶ巨大な円柱群の間を息を切らしながら走る。
マリアンの野望を止め、エステルを取り戻す。そのために、今の俺にできることを淡々とやるのだ。
『ソ、ソータ様、ち、違うの!』
エステルが新人類だと暴露された時に、エステルが必死に叫んだ言葉がまだ耳に残っている。
あの時、俺はひどい目でエステルを見てしまった。プロポーズしようとさえしていた愛しい人をなぜあんな目で見てしまったのか……。
俺の腕にしがみつき震えていたエステルを、なぜ温かく抱きしめてあげられなかったのか?
新人類だからといって傷つかない訳はない。俺が向けた冷たい視線が、彼女の小さな胸に大きな傷を負わせてしまったとしたら取り返しがつかない。
そう言って二人で引っ張ると、ガコッ! っと音がして畳サイズのブレードが抜けた。
ブレードを床に置いて二人で観察してみる。入り口に置いてあったものと同じ構造をしていて、ガラスの微細な構造がキラキラと照明を反射し、美しかった。
しかし……、特に怪しい物は見つけられない。
「もしかしたら1ミリくらいの小さなものかもしれないわ。そうだったらちょっと見ただけじゃわからないかも……」
ミネルバは眉間にしわを寄せて言う。ヒゲがしょんぼりと下がってきてしまう。
「この間にもマリアンは魔物の侵攻を進めてるんですよね?」
「そうでしょうね。ぐずぐずしていられないわ。手分けして候補を一つずつしらみつぶしで行きましょう」
「分かりました。頑張ります!」
「じゃあ、ステータス画面開いて」
「え!? 海王星でも開けるんですか?」
「この肉体に実装されているのよ。ここに直接映像が行くわ」
そう言って、ミネルバは頭を指さした。
「分かりました。『ステータス!』」
すると、確かに青白いウィンドウが空中に開いた。そこにはスマホのようなアイコンも並んでいる。
「今、メッセージ送ったから、そこのリストの上からチェックお願い」
ピコピコと点滅するアイコンをタップすると、リストがズラッと並んだ。その量にちょっと気が遠くなったが、多くの人命がかかっているのだ。頑張るしかない。
「了解です!」
俺はそう言って走り出した。
◇
カンカンカンカン!
金属の網目でできたグレーチングの上を俺は淡々と走った。どこまでも並ぶ巨大な円柱群の間を息を切らしながら走る。
マリアンの野望を止め、エステルを取り戻す。そのために、今の俺にできることを淡々とやるのだ。
『ソ、ソータ様、ち、違うの!』
エステルが新人類だと暴露された時に、エステルが必死に叫んだ言葉がまだ耳に残っている。
あの時、俺はひどい目でエステルを見てしまった。プロポーズしようとさえしていた愛しい人をなぜあんな目で見てしまったのか……。
俺の腕にしがみつき震えていたエステルを、なぜ温かく抱きしめてあげられなかったのか?
新人類だからといって傷つかない訳はない。俺が向けた冷たい視線が、彼女の小さな胸に大きな傷を負わせてしまったとしたら取り返しがつかない。



